もずの独り言・はてなスポーツ+物置

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奈穂子様/伊奈図書事件

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麩と長ねぎをしょうゆで煮込む。簡単なつまみだ。一人で飲むのに手の込んだつまみはいらねえからな。

福島左衛門大夫正則様。酒グセの悪いお方でな。

その酒グセの悪さに愛想尽かした安房守様(本多政重)は「こいつは勘弁してくれ」って暇乞い(退職)したくらいだ。

あれは関ヶ原のあとだったな。いくさに勝って気分良く酔っ払って、酔っ払ったアタマで「そうだ、上方にいるまんかか様(寧々)に勝ちいくさを伝えよう」って思いついた。で、左衛門大夫様の家来に佐久間加右衛門ってえハゲのオッサンがいて、この佐久間のオッサンに「上方に行って、まんかか様に勝ちいくさを伝えて来い」って命じた。こいつがあとあと左衛門大夫様の人生をおかしくしちまうんだがな。

関ヶ原から上方への道筋は権現様の家臣の伊奈図書ってえのが守ってた。で、この伊奈図書が佐久間のオッサンを通せんぼしたんだ。「殿(権現様)からは何びとなりともここを通すなと命じられておる。帰れ」ってな。

佐久間のオッサンは事情を話したんだが伊奈図書は「ダメだ。通せねえ」って。終いにゃ佐久間のオッサンを馬から引きずり降ろして侮辱した。

佐久間のオッサンは「主命を果たせなかった」って言って腹切って死んじまった。左衛門大夫様は佐久間のオッサンのオロク(遺体)を見て「伊奈図書の野郎は許せねえ」って大声で喚いた。

左衛門大夫様は権現様に「佐久間加右衛門は侮辱を受けて自害した。侮辱した伊奈図書の首をもらいたい」って抗議した。権現様は最初、「伊奈は必要な家臣だから、許してやってくれ」って頭を下げた。が、左衛門大夫様は引き下がらねえ。で、次に権現様は「伊奈の代わりに伊奈に付けていた兵100人の首を渡すから」って言った。そしたら左衛門大夫様は「そんなクビ100個もらってもしょうがねえんだ。さっさと伊奈図書の首を寄越しやがれ」って言い返した。

関ヶ原のすぐあとだ、まだ徳川の天下は決まっちゃいねえ。それで権現様は泣く泣く嫌がる伊奈図書を無理やり切腹させた。伊奈図書は権現様の「お気に入り」でな。権現様はこのことを深く根に持った。

それからずっと時間が経って、権現様は死に際、枕元に大炊頭様(土井利勝)をお呼びになってな、「福島左衛門大夫だけは、ワシの死後取り潰せ」って言い残した。よっぽど憎かったんだろうぜ。

権現様の遺言は忠実に実行された。広島城改修にかこつけて大炊頭様は左衛門大夫様を取り潰した。

ま、これが奈穂子サンの時代に「伊奈図書事件」って呼ばれてる騒動のあらましだ。

酒は飲んでも飲まれるな。

人様に迷惑かけちゃいけねえな。

麩と長ねぎをしょうゆで煮込んだ中に餅を入れるとちょっとした夜食になるんだぜ。

奈穂子サン、また。