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奈穂子様/広島藩お取り潰し-本多正純と土井利勝-

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弥七のヤツ、今日は牡蛎を持って来た。こいつは春菊と一緒に味噌で煮るとウマいんだ。

福島左衛門大夫正則様。

安芸広島49万8千石の大大名だ。

左衛門大夫様は「豊臣恩顧」でな。幕府では当然外様として扱われた。

左衛門大夫様は関ヶ原のあとの「伊奈図書事件」で権現様にずっと睨まれてた。そンで権現様は死に際に大炊頭様(土井利勝)に「ワシの死後、福島左衛門大夫だけは取り潰せ」って遺言して死んだ。

大炊頭様は権現様の遺言を忠実に実行しようとした。が、左衛門大夫様はなかなか尻尾を出さねえ。「がーど」が堅いんだな。「がーど」が堅いから罠にかけることも出来なかった。

そんなところに、安芸・備後一帯で大荒れの天気が続いてな。広島城が水に浸かっちまった。石垣やら何やらが壊れちまったから「修理させてくれ」って幕府に届け出た。

で、左衛門大夫様は上野介様(本多正純)に届け出たんだがな。こいつがいけなかった。

実はな奈穂子サン、権現様がポックリ逝ったあと、幕府の実権は上野介様から大炊頭様に移っていたのよ。幕府の中の事に疎い左衛門大夫様は権現様生前の頃のように「本多どのに届け出ていれば大丈夫」って思い込んでた。

それで左衛門大夫様は「本多どのに届け出たのじゃ。広島城を修理しても問題にはなるまい」って早速国許で広島城修理工事を実施した。

ところがだ奈穂子サン、大炊頭様は「そんな話聞いちゃいねえ。左衛門大夫は幕府に無断で広島城に手ェ加えた」って言い出した。お大名が無断で城を築いたり城に手ェ加えたりすんのは御法度だ。それを大炊頭様は言い立てた。

横で聞いてた上野介様はさぞかしバツ悪かったろうぜ。すでに実権が大炊頭様に移っているにも関わらず、それを言わずに左衛門大夫様の届け出を受け取ったんだから。

最初、大炊頭様は「御法度に触れた福島左衛門大夫は所領収公。津軽に3千石を与えてそこで余生を過ごすものとする」ってえ処分を下そうとした。そうすりゃあ権現様の遺言は果たせるからな。

しかしそこで上野介様が「あいやしばらく。関ヶ原での左衛門大夫の働きをお忘れか」って救いの手を出してな。結局広島49万8千石は収公するが、代わりに信濃川中島4万5千石を与えるって処分で決着した。バツ悪かった上野介様もこれで何とか気が楽になったってえワケだ。

この件は奈穂子サンの時代ではよく「本多上野介が工事届を故意に握り潰した」って言われるんだがな、実際には実権を失ったために届け出を言い出せなかったのよ。

ま、そのへん肥後の三斎様は賢かったな。息子の忠利様に「今後の幕府は土井大炊頭を中心に回るだろう」って手紙を出してる。

国持大名は常に幕府の中のことに眼ェ光らせなきゃダメなんだがな。左衛門大夫様はそこんトコが抜けてた。

広島の牡蛎はうめえんだ。生のまま、ちゅるんって食べるのよ。

奈穂子サン、また。