もずの独り言・はてなスポーツ+物置

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奈穂子様/龍馬のはなし

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もう3月なんだけどな。

こうも寒い日が続くと、やっぱり軍鶏だァな。

今日もこうして弥七と軍鶏鍋突ついてるのよ。

何?坂本龍馬

およしなせえ奈穂子サン。そのお方ァな、徳川幕府をこの世から消した張本人だ。そんなお人の話なんざしたらオレが浪人者に斬られちまう。

まァでも今日は弥七がいるし、斬られる心配も無えか。

龍馬サンを斬ったヤツの話ですかい?

そいつは簡単だ。

下手人は原田左之助

奈穂子サンの時代では今井信郎ってことになってるんだろうけどな、そいつは違うぜ。

いいかい奈穂子サン、龍馬サンを仕留めた下手人はな、斬りかかった際に「こなくそ!」って叫んだんだ。「こなくそ」は伊予ことばで「この野郎」ってえ意味だ。こいつはな、龍馬サンと一緒に斬られた中岡慎太郎のヤツが死ぬ前に言い残してる。

龍馬サンを殺す動機のあるヤツの中から伊予のヤツを探すと、一人いるんだよ。そいつがな奈穂子サン、新撰組原田左之助なのよ。

新撰組そのものは龍馬サン殺しにゃあ関わっちゃいねえ。新撰組の親玉は会津藩だ。会津は徳川一筋。慶喜公がどんな決断をお下しになろうと、会津中将様(松平容保)はそいつに従うし、新撰組だって会津中将様が慶喜公に従うってなりゃあ跳ねっ返りは出来ねえよ。

慶喜公はな、幕臣一同に対して「坂本は斬るな」ってえ命じてるんだ。会津様にもその命令は届いてる。龍馬サン殺しはな、大政奉還を認められねえ幕臣連中の仕業だ。そしてその幕臣を焚きつけたのが例のあの薩摩の戦争屋(西郷)だぜ。

あの戦争屋はな、龍馬サンに「坂本サァは新政府ではどげな役職ば望まれもんすか?」って聞いたんだ。そしたら龍馬サンはな、「オレァ世界の海援隊になるぜよ」って答えた。あの戦争屋にゃあこの答えが理解出来ねえ。

太政大臣もいらねえ、近衛大将もいらねえ、世界を相手に自由に商売がしてえ。この想いに、あの戦争屋は薄っ気味悪さを感じたってえワケよ。「こんなの生かしといちゃいけねえ」ってな。で、今井信郎あたりをけしかけてな、事に及んだのよ。

今井信郎佐々木只三郎。他にも何人か幕臣がいたな。でもよ奈穂子サン、龍馬サンは懐に飛び道具(ピストル)持ってるうえに龍馬サン自身が相当の使い手だ。今井や佐々木あたりじゃ相手になんねえよ。

そこでだ奈穂子サン、あの戦争屋は新撰組に目ェつけた。だがな、新撰組会津様が「坂本を斬るな」って命じてるモンだから動くに動けねえ。そこであの戦争屋はこっそり龍馬殺しを引き受けそうな新撰組のヤツを探した。そしたら原田が引っかかった。

ま、ことのあらましはこんなモンよ。原田や佐々木が口割らねえまま死んだもんだから、明治になっても生き残った今井のヤツが「実はあっしが下手人でさァ…」って名乗り出た。目立ちたかったんだろうな、きっと。

権現様と大炊頭様(土井利勝)が土台を作って、吉宗公が建て直した幕府。260年も続いた幕府ってえ家をたった何年間かでぶっ潰したんだ。それを考えりゃあ坂本龍馬ってえお人は大したモンだよ。

しかしまあ、神仏ってえのは用が済んだ人間はさっさと天に召し帰す。龍馬サンが生きてたらなんて考えるだけ無駄かも知れねえな。

軍鶏を腹一杯食ったらな、シメは蕎麦屋でかけ蕎麦よ。ホロ酔いに蕎麦はたまんねえからな。

奈穂子サン、また。