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【みんな生きている】福井県特定失踪者編/福井新聞

《拉致は人権侵害の総本山!拉致再調査合意から1年、家族失望。北朝鮮初回報告なく「期待感ゼロ」》

北朝鮮拉致被害者らの再調査を約束した日・朝合意発表から5月29日で1年。初回報告はいまだになされておらず、日本政府は圧力を強める姿勢だが、日・朝の対立が深まり、拉致問題は進展の気配が見えない。拉致の疑いが拭えない福井県内特定失踪者の家族から期待感は消え去り、苦悩と焦燥感だけが残った。政府に頼らない取り組みも模索しているが、高齢化で体調を崩す人もいて思うように進んでいない。


▼「期待感ゼロ」

「時間だけが過ぎてしまった。私たちの声は首相に届いているのか」。
若狭町の宮内和也さん=1997年失踪、当時(32歳)=の義兄で県特定失踪者家族会の澤 香苗代表(58歳)は、16日と17日に若狭町で行った署名活動の会場でこう漏らした。
日・朝合意を受け、北朝鮮は昨年7月に特別調査委員会を設置して再調査を開始。日本政府は独自制裁のうち、訪朝した在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)幹部の再入国を原則禁止する措置など一部を解除した。しかし、当初昨秋とされた初回報告は先延ばしされ、今年3月末、独自制裁を2年間延長した。
同家族会は1月に小浜市山谷えり子拉致問題担当相と面会。早期解決に向けた制裁強化を要請しており、「延長は制裁強化ではない」(澤さん)との認識だ。
敦賀市の山下 貢さん=1989年失踪、当時(39歳)=の妹・山森啓子さん(62歳)は

「今は期待感ゼロ。拉致のことは忘れられている。私たち家族は風化しないよう世論に訴えるしかない」

と署名を呼びかけた。


▼朗報「一番の薬」

今回の署名活動に参加したのは、特定失踪者のきょうだいや支援者が中心。親で唯一参加した宮内さんの父・和見さん(79歳)は

「高齢化で体調を崩す人が出ている。自分もしんどい。息子が帰ってくることが一番の薬」

と話した。
敦賀市特別養護老人ホームに入所している山下 貢さんの母きよ子さん(91歳)は腰を痛め、体調がすぐれない。
貢さんの妹・中原妙子さん(59歳)は

「母は『貢が帰ってこんし、生きとってもしゃあない』と弱気な言葉が出るようになった」

と明かす。
同家族会は、安倍晋三首相に早期解決を訴える動画を撮影し、民間団体の特定失踪者問題調査会のホームページで流す予定だが、体調を考慮して撮影は6月に延期した。
越前市の河合美智愛さん=1984年失踪、当時(20歳)=の母喜代子さん(73歳)も体調がすぐれず、同調査会が9月に予定する現地調査は、状態をみながら判断するという。
澤さんは

「家族は精神的に追い詰められており、自治体を含めた支援が必要。どれだけ署名を集めれば、首相は動いてくれるのか」

と訴えた。

◆昭和53(1978)年7月7日
アベック拉致容疑事案
被害者:地村保志さん(拉致被害時23歳)
被害者:地村富貴惠さん(旧姓:濱本)(拉致被害時23歳)
「二人でデートに行く」と言って出かけて以来、失踪。
2人は昭和54年に結婚。
平成14年10月に日本に帰国。
娘1人と息子2人は平成16年5月に帰国。
捜査当局は、拉致実行犯である北朝鮮工作員辛光洙シン・グァンス)について、平成18年2月に逮捕状の発付を得て国際手配するとともに、政府として北朝鮮側に身柄の引渡しを要求している。

※「(拉致実行犯に担がれて)階段を一歩一歩下りるとき、犯人の肩がお腹にめり込んで痛かった」
(地村富貴恵さんの証言)

《特定失踪者・宮内和也さんについて》
◆氏名:宮内 和也
(みやうちかずや)
◆失踪年月日:平成9(1997)年4月24日
◆生年月日:昭和40(1965)年1月27日
◆性別:男
◆当時の年齢:32歳
◆当時の身分:公務員
◆当時の住所:福井県三方上中郡若狭町
◆特徴:右利き
◆失踪場所:福井県三方郡三方町世久見の世久見漁港

【失踪状況】
失踪翌月に三方町世久見のB&G海洋センターでカヌーの研修(本人はインストラクター)が予定されており、ナホトカ号重油流出事故の影響で海岸が汚れていないか確認のため出かける。
当日、世久見岸壁で海を見ている宮内さんが目撃されているが、その夜帰宅せず。後に世久見漁港から数百メートル離れた海岸のテトラポッドにカヌーが折れて突き刺さっているのが発見され、さらにその近くで宮内さんの上着が発見された。上着は石が重しのように乗せられていた。
カヌーのパドル(櫂)とライフジャケットは艇庫に置いたままだった。

《特定失踪者・山下 貢さんについて》
◆氏名:山下 貢
(やましたみつぐ)
◆失踪年月日:平成元(1989)年12月27日
◆生年月日:昭和25(1950)年7月5日
◆性別:男
◆当時の年齢:39歳
◆当時の身分:作業員
◆当時の住所:福井県敦賀市
◆特徴:
1)くせ毛
2)右利き
3)腰部に縦20cmの手術痕
◆失踪場所:福井県越前町

【失踪状況】
失踪当日早朝4時頃、釣り道具を持って「魚を釣ってくる」と実家を出て失踪。
越前町午房が平の国道305号線沿い(通称・よびかけ地蔵)に車が発見される。
岩場に餌箱が残されていたが、遺体はもちろん釣り竿、その他の遺留品も未発見。
車は鍵がかかっており、車内に長靴・食べかけのおにぎり・免許証等が残される。
当時海は穏やか、浜育ちの本人は泳ぎ達者。
当時の所轄だった丹生警察署の調べでは

1)交通事故の可能性はない
2)自殺する動機は見当たらない
3)岩場から転落した形跡は認められない
4)付近一帯の検分・捜索の結果何も見つからず

失踪後数年経った頃、本人の自宅や実家などに無言電話や不審な電話がかかる。

《特定失踪者・河合美智愛さんについて》
◆氏名:河合 美智愛
(かわいみちえ)
◆失踪年月日:昭和59(1984)年4月2日
◆生年月日:昭和38(1963)年12月18日
◆性別:女性
◆当時の年齢:20歳
◆身長:169cm
◆当時の身分:会社員
◆当時の住所:福井県越前市
◆特徴
1)おでこが広い
2)口元に小さなホクロ
3)右膝外側に10cm程度のあざ
◆失踪場所:福井県武生市(現越前市

【失踪状況】
失踪前日から地元の繊維会社に勤め始めていた。
昼食のために会社から一旦帰宅して昼食を取った後、会社に向かったが会社には着かずそのまま行方不明となった。
乗っていた自家用車(カローラ)も見つかっていない。
失踪後、1~2回、実家に無言電話がかかってきたが、名前を呼びかけると直ぐに切れた。
平成6年頃、宮城県内で目撃情報があります。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。