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【みんな生きている】金正男編

《『産経新聞』が伝える「金王朝」の御家騒動

■軍最高幹部の更迭理由は「内通」か?


北朝鮮金正恩キム・ジョンウン)政権が金第1書記の異母兄、金正男キム・ジョンナム)氏(41歳)の本格的排除に動き出したことが10月13日までに分かった。
正男氏襲撃が工作員に指示されていた他、朝鮮人民軍最高幹部だった李英鎬(リ・ヨンホ)次帥の更迭も正男氏との内通が理由だったとの見方が浮上。正男氏への送金も絶たれたという。
また、中国で暮らす正男氏に対し中国側も警備の水準を引き上げたもようだ。


■正男氏襲撃指令

「『金正男氏を中国で襲って北朝鮮に連れ戻せ』と指示された」。韓国検察によると、脱北者を装い韓国に潜入したとして10月9日に起訴された北朝鮮の秘密警察・国家安全保衛部の工作員の男(50歳)はこう供述した。2010年7月頃に指示され、交通事故を装った襲撃を計画したが、正男氏の所在が確認できず実行されなかった。
民間団体「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)等が最近朝鮮労働党幹部たちから得た情報では、保衛部からは「場所、手段を選ばず正男氏を除去せよ」との指令が出されていたという。
この指令は正恩政権になって指示が強まった可能性がある。7月の李氏の軍総参謀長解任を巡っても経済政策に反対したため等と伝えられたが、決定的理由は「正男氏との内通」とされたとの情報が党幹部の間で持ち上がっているという。
北京やマカオを拠点に活動する正男氏に、朝鮮労働党朝鮮人民軍の各部門は毎月計十数万ドルを送金。李氏は正男氏の軍勤務を通じ接点があり、送金にも関わってきたとされる。
しかし、金第1書記が権力を固めるとともに送金は打ち切られ、愛人複数と家族を持ち自身はホテル暮らしをする正男氏は現在、資金に困窮しているという。
正男氏については長年、叔母で金第1書記の後見役でもある金敬姫キム・ギョンヒ)党政治局員と張成沢チャン・ソンテク)国防副委員長夫妻が擁護してきた。一連の動きの背景には、張氏が金第1書記から正男氏との関係途絶を迫られる前に排除容認に転じ、李氏を犠牲にした可能性がある。また、国外での手術も報じられた敬姫氏の健康悪化も関係していることが考えられる。
中国内外を自由に行き来し、メディアの前にも姿を見せてきた正男氏だが、李氏更迭以降、動向は確認されていない。
中・朝関係者によると、中国当局者は組織的な警護に入っていることを認め、所在については完全に秘匿しているという。


■破られた総書記の“遺訓”

金正日キム・ジョンイル)総書記の長男・金正男氏は日・韓の一部メディアに北朝鮮の改革開放の必要性を公言し、中国でも好感を持たれてきた。
正男氏は金正恩政権にとって中国と通じる目障りな存在と言えたが、金総書記が正男氏一家の援助を命じていたともされる。正男氏排除の動きは金総書記が案じてたという骨肉の争いの再現とともに、金総書記の“遺訓”が破られたことを意味している。


■親中ぶりを警戒

「三代世襲には反対だ」
「弟(正恩氏)が必要なら支援する用意がある」。
金正男氏はこれまで北京やマカオで日韓のメディアの前に現れては、歯に衣着せぬような言葉を口にしてきた。
今年1月には日本人記者とのメールのやり取りやインタビューをまとめた本が出版されたが、その中で北朝鮮の将来について「改革開放を進める中国式のやり方しかない」と強調した。“庇護者”中国を意識したかのような口ぶりだ。
中国では実際、親しみを込めて「太っちょ兄さん」と呼ばれ、中国共産党幹部子弟グループの太子党を中心に支持者も多いという。李英鎬・前朝鮮人民軍総参謀長の更迭では「正男氏との内通」が理由に挙がるが、RENK代表の李英和(リ・ヨンファ)関西大教授は

「正恩政権が、正男氏支援イコール正男氏の背後にある中国などとの内通とみなした可能性がある」

と指摘する。
正男氏への実力行使は金第1書記の後継者内定直後から現れ始めた模様だ。
2009年4月、正男氏の側近らが集まった平壌の別荘が襲撃される「ウアム閣事件」が発生。韓国で起訴された工作員が襲撃指示を受けたのは2010年7月だ。
それでも正男氏に危害が加えられなかったのは「中国で殺害すれば国際問題になる」(工作員の供述)との判断とともに、金総書記がそれを許さなかったためといわれる。


張成沢氏も見限った?

金総書記はかつて異母弟の金平日(キム・ピョンイル)氏や叔父の金英柱(キム・ヨンジュ)氏と権力の座を争い、息子らが同様な骨肉の争いをすることを最も嫌ったとされる。そのため、後継者を論じることさえ禁じられた。
正男氏は2001年に日本に不法入国し拘束され、後継候補からも外れたと言われるが、息子・ハンソル氏(17歳)たち孫の存在もあり、金総書記が各機関に送金等の援助を命じたようだ。李英鎬氏が援助を続けていたとしても「遺訓」を遂行していたに過ぎない。
さらには、最大の後ろ盾として叔母の金敬姫氏と張成沢氏夫妻の存在があった。 正男氏は幼少時に張夫妻が面倒を見たこともあり、中・朝関係筋によると、敬姫氏は金第1書記の後継者内定間際まで正男氏を擁護し、金総書記の死後も互いに連絡を取り合っていたという。
張氏が正男氏の排除を認めたとすれば、金正恩政権が死守するとしてきた“遺訓”の一つがなし崩しにされたことになる。中国側の保護で身に危険が及ばなくとも、正男氏は北朝鮮内部での後ろ盾を失い、事実上、中国への「亡命」状態に置かれていることにもなる。

金正男氏とは?】
金正日総書記の三男の金正恩第1書記や次男の正哲氏の母親が在日朝鮮人出身の高英姫(コ・ヨンヒ)氏なのに対し、生母は元女優の成恵琳(ソン・へリム)氏。
異母弟とは別々に育ち、金第1書記には会ったこともないという。
スイスやロシアでの長期留学経験があり、1990年代から主に中国で暮らしている。



※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)