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【みんな生きている】COI編(2)/AFP

―生を受けた時から洗脳され、常に監視されながら全てを支配する国家に怯える。ひとたび規範から逸脱すれば収容所に送られ、二度と一般社会に戻ることはない―
北朝鮮による非人道的な人権侵害の実態が2月17日、国連(UN)の北朝鮮の人権状況を調査する特別委員会(COI)が発表した約400ページの報告書によって明らかにされた。
報告書は北朝鮮政府が「人間のくず」と呼ぶ脱北者、約320人の聞き取り調査等を基にしている。北朝鮮に残った親族が処罰されることや、逃げた先の国で自身が北朝鮮関係者に拉致されることを恐れて、証言をためらった人も多かったという。
中でも最も衝撃的なのは、「管理所」と呼ばれる北朝鮮政治犯収容所からの脱出に成功した人たちによる証言だ。
特別委員会のマイケル・カービー(Michael Kirby)委員長は、政治犯収容所での労役の1つは餓死した収容者たちの遺体を集め、容器に入れて焼却することだったという元収容者の証言を明らかにした。その後は仲間の収容者が遺灰や焼け残った遺体の一部を集め、近くの畑に撒く肥料にしたという。
74歳のカービー委員長は

「私の年代の人たちならば、第2次世界大戦末期に起きた出来事を想起せずにはいられないだろう」

と述べ、ナチス・ドイツ(Nazi)によるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)との類似性を示唆した。


■残酷な拷問

北朝鮮政府は収容所の存在を否定しているが、報告書は元収容者や元監視員、近隣住民らの証言や衛星画像から北朝鮮側の主張は真実でないと証明されたとしている。
北朝鮮の収容所には8万~12万人がいるとみられる。政治犯には連座制が適用されるため、家族や親戚全員で収容されている人たちもいる。
過去半世紀で数十万人が収容所で死亡したとみられる。報告書は「意図的な飢餓、強制労働、処刑、拷問により、(収容者たちは)徐々に排除されていった」と記している。
報告書には元収容者が描いた詳細な拷問の絵も含まれている。拷問は、それぞれの残酷な手法によって「ハト」「飛行機」「オートバイ」などの呼び名がついていた。


■全校生徒の前で公開処刑

妊娠した女性収容者は強制堕胎させられ、武術の練習台にされる収容者もいる。飢えた収容者たちはネズミや木の葉を食べているという。
さらに報告書は、生物化学兵器の威力を試す医学実験で収容者たちが殺害されている疑いがあると指摘している。
公開処刑や投獄等の手段を用いた恐怖による支配は収容所の外に暮らす人々にもおよぶ。人々は絶え間ない「監視、抑圧、恐怖、処罰」にさらされて、批判めいたことは一切口にしなくなるのだ。
報告書には、学校の全生徒の目前で行われた銃殺刑の詳細も記されている。
経営状況が芳しくなかった工場の責任者が「スパイ」として銃殺された公開処刑を16歳の時に見せられた元収容者は

「怖かった。誰でもこんなふうに処刑されることがあるんだと思った」

と証言した。工場の労働者もこの公開処刑を見せられたという。



《参考・全巨里教化所》

【インチキ裁判に女性への性的蹂躙。デイリーNKが伝える全巨里教化所の実態(2012年)】

「食事が全く足りず、カエル、ネズミ、ヘビ、ミミズなどを捕まえて食べ、着る服がないので死人の服をはがして着た。伐木・鉱山・農作業などの強制労働は基本で、作業量が基準に満たない場合、真冬に一日中外でひざまずかされたり、杭に縛り付けられる。ぼろぼろの下着一枚で外に座らせられた人はその状態で凍死した」

1995年から2009年までの間、北朝鮮の全巨里(チョンゴリ)教化所で服役した脱北者らが、最近発刊された人権報告書「助けてください―反人倫犯罪の現場、北朝鮮教化所―全巨里教化所編」(キム・サンホン、キム・フィテ著、北朝鮮人権第3の道刊)を通し、教化所での残酷な人権蹂躙の実態について証言した。
北朝鮮人権情報センターのキム理事長と北朝鮮人権改善の会のキム事務局長は、今後国連などの国際社会に対し、北朝鮮人権蹂躙の深刻性を改めて強調するため約170ページに及ぶ報告書を執筆した。同報告書は全巨里教化所出身で韓国に定着した脱北者81名のうち11名の証言と、北朝鮮人権情報センターが収集した文献資料、脱北者6,404名の証言などを基に作成された。
普通、教化所は経済犯、暴行犯、窃盗犯など一般の犯罪者を収容し保安署(警察)が運営するため、政治犯収容所よりも人権蹂躙の程度が低いとの評価を受けてきた。しかし今回公開された証言によれば、政治犯収容所に劣らず教化所での人権蹂躙が深刻である。
脱北者らは

「教化所も政治犯収容所も人間が動物以下の扱いを受けるのは同じ。死んでいく人がいくらでもいる。全巨里教化所に収容された人の80%は強制送還された脱北者。ここで10分足らずのでたらめな裁判にかけられる。人権蹂躙が日常化した『殺人施設』に他ならない」

と話した。
全巨里教化所で服役しながら死体処理業務を任されていた、とある脱北者

「1998年6月から1999年1月の間、焼却処理後埋めた死体の数は正確には859体。一日平均4、5名の収容者が死亡した」

と話した。
また別の脱北者

「(死亡者が急増したため)一時期、死亡者の数を減らすために死ぬ直前の収容者を病保釈として釈放することがあった。しかし釈放後、家に到着して死亡する場合が増え、現在再び釈放を制限しているよう」

と話した。
報告書に紹介されている女性収監者に対する性的拷問・人権蹂躙は衝撃そのものである。
教化所の幹部らは中国人の子どもを妊娠した収容者に対し、「二度と妊娠できないようにしてやる」と火の付いた棒を子宮に入れる。また自身の地位を利用して収監者に性的行為を強要し、これを拒否すると子宮や胸にライターの火をかざすなどの行為もはばからないと報告書は告発した。
北朝鮮人権情報センターのキム・サンホン理事長はデイリーNKに

「3、4年間準備してきたこの報告書は、今後金正恩キム・ジョンウン)をはじめ、北朝鮮当局の人権蹂躙行為を告発する資料の裏付けとなる。北朝鮮人権情報センターで制作した北朝鮮人権資料は国連北朝鮮代表部、日本の朝鮮総連などいくつかのルートを通して北朝鮮に送られている」

と話した。

脱北者Fさんは恵山保衛部に拘禁された当時、中国から強制送還された妊婦がいた。
Fさんは「9ヶ月目に入った妊婦が真夜中に呼び出され、3、4時間後に戻って来ると泣いてばかりいた。病院で中絶の注射を打たれたという。その少しあとで男の子を死産した。赤ちゃんを裸のまま見送ることが出来なかった母親は、垢がついたランニングシャツを脱いで赤ちゃんをくるんだ。そして、プラスチックの盥に入れようとした瞬間、抑えていた怒りを堪えきれず嗚咽した。しかし、保衛部職員は“中国の種子”などと暴言を吐いてその女性の顔を殴った」と記した。
脱北者の手記集より)



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。