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【みんな生きている】北朝鮮外貨浸透編

北朝鮮で進む“dollarization”》

自国の貨幣よりドルに対する信頼が上回り、市場にドル流通する「ドル化(dollarization)」現象が、北朝鮮で急速に進んでいる。これは、住民生活の基礎部分に広まっている市場の影響力と無関係ではない。北朝鮮では既に、携帯電話の加入者が200万人を超え、平壌にはカルティエ、シャネル等のブランド品を売る店も登場した。しかも住民たちは、当局の脅しにもかかわらず、金の取引にまで手を出している。
金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党第1書記は政権樹立後、いわゆる「6・28措置」(2012年)による成果分配で市場経済的な要素を一部導入し、父親の故・金正日キム・ジョンイル)総書記がかつて「親市場派」という理由で追放した朴奉珠(パク・ポンジュ)首相を再起用した。これも「市場の力を事後的に認めざるを得なかったから」だと分析されている。


金正恩政権後の市場親和策導入

金正恩氏は、昨年4月の第4回労働党代表者会で朝鮮労働党第1書記となり、公式に政権を樹立した。その後、金第1書記は内閣に「経済管理方式の改善を準備する小組(タスクフォース)を結成せよ」と指示した。2カ月後の昨年6月28日、北朝鮮は「新たな経済管理体系」または「我々式の経済管理法」と呼ぶ措置を打ち出した。農業や工業の分野で成果に応じて生産物の分配を強化することが、この措置の核心部だった。
共同農場では、分組(共同農場における集団生活の基本組織で、生産上・労働上の最小単位)の規模をそれまでの20人~30人から4~5人のラインに減らし、事実上「家族農」が可能になるようにした。北朝鮮では、生産物を6(国)対4(農民)または7対3の比率で分配するようにしたという。
ある脱北者によると

黄海道の一部では昨年、1家族5人が土地4町歩(約1万2000坪)を耕作し、コメ4tを得たという。900kgあれば家族5人が1年間食べていけるとすると、3t以上のコメは個人的に扱い、市場に出して売ることもできる」

と語った。
韓国政府のある消息筋は

「この措置が原因なのかどうかは分からないが、今年の春、一部の地域で農産物の生産量が10%程度増えたのは事実」

と語った。
工場や企業所も超過生産分に合せて俸給を多く払ったり、労働者がこれを市場に持っていって売れるようにしているという。北朝鮮は、現在一部の農場や工場で試験的に実施しているこの措置を、徐々に拡大していく計画だ。このため、失脚した朴奉珠氏を今年4月から再び首相として起用した。
北朝鮮はその後、市場に対する直接的な統制を大幅に緩和したと伝えられている。
統一研究院のパク・ヒョンジュン先任研究委員は

北朝鮮による市場親和的措置の導入は、もはやどうにもできない現実を事後的に認め、これを政権レベルで前向きに活用してみようとする試みだと考えられる」

と語った。


■成果はまだ未知数

とはいえ、こうした諸措置が成功するかどうかは依然として疑いが残る。まず、北朝鮮軍部など強硬派の影響力が牽制されるため、これを推進し続ける上で内部対立の要素が存在している。
北朝鮮の事情に詳しいある消息筋は

「いわゆる『北朝鮮式経済管理法』は昨年6月に発表されたが、その後一部保守的な変更があり、実際に施行され始めたのも今年からと推定される。それだけ、北朝鮮内部に対立があったということ」

と語った。
また、農場や工場に経営上の自律権を付与しても、これを活用できる資本および経営能力が不足している点も問題として挙げられる。資本主義式制度を導入すると言っても、これを施行する主体が訓練されておらず、成果の保障は難しいというわけだ。
このため、金正恩第1書記の経済改革措置が成功するためには、軍事費や偶像化・特権層のための費用など非生産的費用を減らし、経済的信頼を回復して海外資本を誘致すべきだという指摘がなされている。



※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)