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【みんな生きている】人食い編

《それだけはやっちゃいけないのに…『産経新聞』が伝える北朝鮮人食い事件》

北朝鮮南西部の穀倉地帯、黄海南北道で昨春来、数万人規模の餓死者が発生していたことが、北朝鮮の内部情勢を独自報道してきたアジアプレスの石丸次郎氏が率いる取材チームの調べで分かった。
金正恩キム・ジョンウン)第1書記デビューの舞台となった首都平壌建設や北朝鮮人民軍の掌握のための食糧調達を、穀倉地帯から強制収奪した結果の飢餓発生だった模様だ。
目撃証言は一家自殺や人肉食(人食い)等凄惨な内容で、石丸氏は飢餓の実態と背景について報告書にまとめ、1月中にも国連等国際機関に提出する。


■麗しい首都平壌と穀倉地帯の飢餓地獄

北朝鮮は昨年4月、金日成(キム・イルソン)生誕100年祝賀行事と「祝砲」のミサイル発射で金正恩氏の新体制を内外に誇示した。
ミサイル発射には世界からの21社170人もの外国メディアを受け入れて指導者デビューを飾ろうとした。ミサイルは失敗したものの、首都平壌は高層ビルの建設ラッシュ、その夜空は花火で彩られており「平壌は発展している」等と報じた外国メディアも少なくなかった。
しかし、石丸氏たちの取材はその平壌の繁栄が虚構であることを暴き、「人民の生活向上を重視」等と年頭に演説した金正恩体制の“正体”に迫ろうとしている。
石丸氏によると、取材チームが穀倉地帯の異変をキャッチしたのは昨年3月頃。以来、中・朝国境に出てきた黄海道の住人取材や、チームのメンバーであり石丸氏が養成してきた北朝鮮人記者による潜入取材等を敢行して証言を集めた。

『私の村がもっともひどかったのは昨年4月と5月でした。飢えて全滅した一家もあれば絶望して全員が自殺した家もあった。毎日5世帯、6世帯と死人が出た』
黄海南道、農村幹部)
『目を覆いたくなるような状況でした。青丹郡というところでは住民の何割が死んだかわからないほど。空腹でおかしくなった親が子を釜ゆでして食べて捕まる事件があった』
黄海道の農村に党の方針を伝達するため域内を回った党中堅幹部)

石丸氏が衝撃を受けたのは、取材した黄海道住民の全員から人肉食の証言が出たという凄惨な事態だという。親子殺人や人肉の密売流通等で、多くは保安部(警察に相当)に通報され処罰されているため、住民の間で公然化していたという。


■首都平壌と軍組織をあがなうための権力による計画的な食糧収奪と強奪

「国中が疲弊するなかで平壌と軍の安定だけは金正恩体制の至上課題だった。黄海道から収奪されたのは、首都再開発事業に全国から動員された学生や青年同盟(金日成社会主義青年同盟)等を養う食糧と、平壌市民への配給用の『首都米』、軍部隊を維持するための軍糧米だ。地方幹部や警察等権力側がチームを組んで農村から強奪していた。一方、軍用は軍糧米の名目で、収奪は収穫前に田畑に入るケースや収穫後に持ち去るケース、さらになけなしの食糧を隠している住民も、家宅捜索までされて強奪された」
(石丸氏)

約20年間、国境取材等で北朝鮮をウオッチし、約10年前から北朝鮮内部に記者を育成、潜入報道を行ってきた石丸氏は、黄海道が5、6年前から軍による収奪が行われていたことに注目していたという。

「しかし、昨年から始まった飢餓は明らかに金正恩氏デビューに伴う莫大な浪費によるものだ。新しい指導者が出たのに『軍に配給もない』では体制は保てないため穀倉地帯に負担を強制したのだ。我々が取材した証言には、銃を持った軍人が脱穀所から食糧をすべて奪取した目撃談や、上部からの命令でノルマを課され暴力的に奪取する以外に方法がなかったと語る地方の党幹部たちの話が少なくない」
(石丸氏)

取材チームは、入手した複数証言の分析から餓死者は数万人と推定した。黄海南北道は中国国境に遠いこともあり、中国への脱出者が全土で最も少なく情報が外部に出にくいという。


北朝鮮の食糧事情は好転している?

欧州連合(EU)は2012年秋に北朝鮮に調査団を派遣、食糧事情を調査した結果は「緊急支援は必要なし」とされ、今年のEUによる対北食糧支援は打ち切られている。
また、国連の世界食糧計画(WFP)と食糧農業機関(FAO)が昨年11月に発表した報告書も2012~2013年の穀物生産予測は前年対比コメ11%増、トウモロコシ10%増で食糧事情は好転したとしている。
しかし、北朝鮮は政治的な理由から調査を捏造データでごまかすことが多い。このため慎重なクロスチェックが求められる。

「作柄が好転すれば幸いだが、農村への収奪については国際機関が本格的に調査する必要がある」
(石丸氏)

調査を続ける同取材チームのもとに現地からは、国際機関の報告とは全く逆の「今年の不作」の予測と生活の不安を訴える声がいまも相次いでいるという。



※これまで、国際社会による対北朝鮮食糧支援が北朝鮮住民に行き届いたことは無い。
「隣の家族がカネを借りて白いごはんと肉のスープを腹一杯食べたあと、スンニュン(おこげ料理)に農薬を混ぜて飲んで自殺した。草を食べなければならないほど食糧が無いとき、体が弱い子供にまず食べさせようとする母親の気持ちがわかるか」
脱北者の証言)
※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)