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【みんな生きている】男鹿脇本事件編(1)/産経新聞

《インチキ遺骨ではなくて、拉致被害者を返せ!【戦後70年 東北の記憶】「男鹿脇本事件」(1)》

「おい、待て!」。漆黒の日本海に私服警察官2人の声が響いた。
34年前の昭和56年8月5日午後10時ごろ、秋田県男鹿市脇本の海岸。消波ブロックの上にいた不審な3人の男が一斉に海に飛び込んだ。
ウエットスーツ姿の一人がゴムボートに乗って先に逃げ、もう一人も素早い泳ぎでボートに追い付いた。残るアノラック姿の男はぐんぐん離されていった。
私服警察官は無線で応援を求めた。男鹿署員が漁船を借り上げて捜していたところ、泳いでいた男を見つけ、海に飛び込んで捕まえた。ゴムボートの2人は発見できなかった。
消波ブロックに残されたボストンバッグには、現金20万円や北朝鮮製の衣類が入っていた。


■1カ月訓練受け戻る

男は東京都江戸川区西葛西に住む29歳の在日韓国人で、外国人登録証を持っていなかったため外国人登録法違反の疑いで逮捕。出入国管理令違反の疑いで再逮捕された。
和歌山県出身で、東京の大学の建築学科を卒業した後、6月まで在日本韓国YMCAに勤務していた。取調官に、在日本朝鮮人総連合会朝鮮総連)を通じて弁護士を呼ぶよう要求した後、黙秘を続けたが、周辺捜査などから、1月に北朝鮮工作員として取り込まれ、反韓国教育を受けた後、7月5日に同じ海岸から工作船で密出国したことが分かった。
「7日5日夜、行ってしまった」「あと1週間で北朝鮮から帰ってくる」…
自宅の家宅捜索で押収された妻の日記には、男の行動や予定が記されていた。平壌で1カ月間、工作員としての訓練を受け、対韓国工作のための準備や在日韓国・朝鮮人に対する金日成(キム・イルソン)思想の浸透などの任務を指示され、密入国したところだったのだ。
ゴムボートで逃げた2人は朝鮮労働党作戦部に所属する「戦闘員」と呼ばれる案内役の工作員で、沖に停泊していた工作船北朝鮮に戻ったとみられる。
朝鮮総連県本部は「県警によるでっち上げ」などとして、男の釈放を求める抗議声明を発表した。
男は10月16日、秋田地裁で懲役10月、執行猶予2年の判決を言い渡された。


■警備部の精鋭捜査員

「男鹿脇本事件」。警察当局がそう名付けたこの事件は、北朝鮮工作員の潜入を水際で発見した日本警察史上に残る事件として内部で語り継がれている。
県警は当時、3人を見つけた私服警察官を「男鹿署員」と発表したが、実は北朝鮮工作員に目を光らせる県警警備部の精鋭捜査員たちだった。
「偶然ではない。必然だ」。当時捜査に携わった関係者が重い口を開いた。
264キロの海岸線がある秋田県。少ない人員でどうして発見できたのか。警察当局に「ヤマ」と呼ばれる無線傍受機関があり、工作船の電波をキャッチしたときは「KB(コリアンボート)情報」を出して海岸の警戒を指令していたとされる。
情報があったのではないか-。そう尋ねても、関係者は「日頃の警戒活動の成果だ」と繰り返すだけだった。

■政府拉致問題HP
http://www.rachi.go.jp/
警察庁HP
http://www.npa.go.jp/
秋田県警HP
http://www.police.pref.akita.jp/
救う会秋田HP
http://sukuukai-akita.com/
救う会全国協議会HP
http://www.sukuukai.jp/
特定失踪者問題調査会HP
http://www.chosa-kai.jp/

【昭和56(1981)年】
 3月にかけての大雪は「五六豪雪」と呼ばれる。秋田県雄和町(現・秋田市)に秋田空港が移転し、開港。青森では原子力船「むつ」の母港がむつ市関根浜に決まった。女子レスリングの五輪メダリスト、小原日登美さんと伊調千春さんがいずれも八戸市で生まれた。岩手では三陸鉄道が発足。山本譲二さんの「みちのくひとり旅」がヒットした。



《特定失踪者・木村かほるさんについて》
◆氏名:木村 かほる
(きむらかおる)
◆失踪年月日:昭和35(1960)年2月27日
◆生年月日:昭和13(1938)年8月27日
◆性別:女性
◆当時の年齢:21歳
◆当時の身分:日赤秋田高等看護学校3年生
◆当時の住所:秋田県秋田市中通
◆特徴:
1)中肉中背
2)色白でいつも微笑みをたたえ優しい感じ
◆失踪場所:秋田市

【失踪状況】
戸籍上は「かをる」だが、日常は「かほる」としていた。
看護学校の卒業式を10日後に控えていた。
「ちょっと出かけてくる」と寮の同室の友人数人に言って出て行ったきり戻らず。
平成16年9月29日、青森県八戸署に告発状を提出。
青森県警HP
http://www.police.pref.aomori.jp/

《特定失踪者・石田 清さんについて》
◆氏名:石田 清
(いしだきよし)
◆失踪年月日:昭和44(1969)年9月末~10月初め頃
◆生年月日:昭和18(1943)年3月16日
◆性別:男
◆当時の年齢:26歳
◆身長:158cm
◆体重:56kgくらい
◆当時の身分:自動車板金工
◆当時の住所:秋田県能代市二ツ井(旧二ツ井町
◆特徴:片方の黒目が若干欠けている
◆失踪場所:秋田県山本郡二ツ井町(現在能代市)自宅アパートから

【失踪状況】
実家に稲刈りの手伝いに来て「明日も来る」と言っていたが、翌日来なかった。
自宅アパートの隣の家に寝巻きが投げ捨てられており、電線(もしくは電話線)が切られていたことから、事件ではないかと警察に通報した。
また日時は不明だが、二ツ井高校近くのバス停の鷹巣方面、藤里方面行き乗り場に立っていたという目撃情報もあった。

《特定失踪者・薩摩勝博さんについて》
◆氏名:薩摩 勝博
(さつまかつひろ)
◆失踪年月日:昭和48(1973)年1月
◆生年月日:昭和24(1949)年10月11日
◆性別:男
◆当時の年齢:23歳
◆当時の身分:農業・牛乳販売店勤務
◆当時の住所:秋田県山本郡八峰町(旧峰浜町)
◆失踪場所:秋田県峰浜村(現八峰町)の実家から能代市に向かったのが最後

【失踪状況】
失踪当時は農閑期だったため、勝博さんは出稼ぎで東京都杉並区の牛乳販売店に勤めていた。
そこを頼っていった同じ村落出身の女性(能代市居住)としばらく同居していた。
二人は結婚の意思を固め、失踪前夜に勝博さんの実家を揃って訪れるが父や親戚に反対される。
その夜は実家に泊まり、翌朝「彼女を能代市内に送ってくる」と行ったまま戻らず。
車も発見されていない。
■警視庁HP
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp

《特定失踪者・佐藤正行さんについて》
◆氏名:佐藤 正行
(さとうまさゆき)
◆失踪年月日:昭和61(1986)年10月29日
◆生年月日:昭和33(1958)年12月11日
◆性別:男
◆当時の年齢:27歳
◆身長:170cm
◆体重:60cm
◆当時の身分:製薬会社勤務
◆当時の住所:愛知県名古屋市
秋田県秋田市新屋出身
◆特徴:
1)やや面長
2)眼鏡とコンタクトレンズを併用
◆失踪場所:愛知県名古屋市千種区の自宅マンション

【失踪状況】
外食店で買い求めた弁当をアパート自室で食事中、部屋着の軽装で外出したまま行方不明。
部屋には財布、自動車免許など一切の身の回りのものは残されていた。
■愛知県警HP
http://www.pref.aichi.jp/police/

《特定失踪者・松橋恵美子さんについて》
◆氏名:松橋 恵美子
(まつはしえみこ)
◆失踪年月日:平成4(1992)年1月15日
◆生年月日:昭和40(1965)年5月15日
◆性別:女性
◆当時の年齢:26歳
◆当時の身分:縫製工場勤務
◆当時の住所:秋田県北秋田市三里(旧合川町
◆失踪場所:秋田県能代市能代

【失踪状況】
祖母に「鷹ノ巣に行って来る」と告げて車で出かけたまま、その日は戻らなかった。
友人の家に行ったのだろうと思っていたら、翌朝出勤していないことがわかる。
家族で探したところ、能代市の海岸で車が見つかる。
車内には身の回りのものが全て残っていた。
北朝鮮にいるとの不確定情報がある。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。