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【みんな生きている】久保田るり子編/産経新聞

《拉致は人権侵害の総本山!金正恩氏が狙った日本資金、「遺骨ビジネス」は風前の灯火?久保田るり子女史が鋭く抉る!》

日・朝交渉は最終ラウンドに入り、日本政府が「再調査は1年がメド」としている昨年7月の特別調査委の始動まで1カ月余となった。今年に入って日・朝の水面下交渉はすでに4回。だが、北朝鮮側が日本人妻や遺骨問題を先行させようとして、日本はこれを拒否、交渉は暗礁に乗り上げている。
北朝鮮が10年ぶりに拉致問題も含む協議に応じてきたのは金正恩キム・ジョンウン)体制が追い詰められた結果だ。拉致被害者を奪還するには、日本が金正恩体制の“弱み”を鋭く突けるか-にかかっている。


■トップに捜査?戦々恐々の朝鮮総連

「安倍政権はどこまでやる気なのか」と朝鮮総連が浮足立っているという。
北朝鮮マツタケ不正輸入事件で、総連トップの許宗萬(ホ・ジョンマン)議長宅などに警察の家宅捜索が入ったのが3月末、許議長の次男が外為法違反で逮捕されたのが5月12日だった。日本政府が総連包囲網を対北朝鮮圧力に使っているのは明らかで、総連サイドからは「総連いじめをしても拉致被害者は帰ってこない、ということが安倍政権にはまだわからないのか」との負け惜しみの声も聞こえてくる。
関係者によると、総連側は「総連本部への家宅捜索の有無」と「許宗萬議長への捜査」を警戒して戦々恐々だという。東京・千代田区富士見の総連中央本部に日本の警察が踏み込めば、総連を中心とする在日朝鮮人社会が崩壊の危機に瀕する。また、日・朝の暗部を知り尽くす許議長に捜査が及べば、北朝鮮の猛反発は最高潮となって日・朝関係は当面、断絶するだろう。


北朝鮮の“急所”とは?

総連包囲網に注目が集まっているが、実は北朝鮮当局が警戒しているのは、再制裁で日本が視野に入れている「人的往来禁止」なのだという。
北朝鮮の核開発、ミサイル開発を支える技術は日本から入っている。中心は総連傘下の在日本朝鮮人科学技術協会(科協)だ。部品なども科協が第3国経由で入手し北朝鮮に運ぶ。日朝協議の結果で日本が人的往来を禁止すれば科協ルートが潰れる」(日朝関係者)というのだ。
自民党は今月、対北朝鮮再制裁のプロジェクトチームを立ち上げた。チームは再制裁の検討を開始しており、その“切り札”が「人的往来の禁止」だ。
現在の案では

(1)在日朝鮮人に対し北朝鮮への渡航に関し再入国の全面不許可
(2)日本人に対しては旅券の適応先から北朝鮮を除き、北朝鮮渡航希望者には審査の上、特別旅券を発行

-などとなっており、適用対象は

▽核・ミサイル技術者
▽不正輸入業者
▽「よど号」グループの子弟
▽総連幹部

が挙げられている。
これまでも対北朝鮮制裁の手段として人的往来の禁止が検討されたことはある。しかし、人的往来を止めることには、「在日韓国・朝鮮人に対する人道上の問題がある」との懸念があり実現には至らなかった。だが今回は、日本最大の人道問題「拉致問題」への対応として制裁手段になる可能性が出てきた。


北朝鮮は「400億円の日本資金」をあきらめた?

奇妙なのは、日本の総連包囲網への北朝鮮の反応が中途半端なことだ。非難声明は出ているが、政府機関からのものではない。また、「日・朝協議を中断する」と断言していない。彼らはまだ、日本から何か成果を取ろうとしている。
昨年7月に始まった再調査は日本にとって「2002年に死亡とされた拉致被害者8人を生き返らせるための交渉」だった。
だが、昨年5月のストックホルム合意文では拉致問題

(1)拉致被害者
(2)行方不明者
(3)日本人遺骨問題
(4)残留日本人、日本人配偶者

の4項目のひとつに過ぎなかった。
文書には『人道的見地から、適切な時期に、北朝鮮に対する人道援助を実施することを検討する』との文章も入っており、「北朝鮮に甘い」「北朝鮮側から値段をつり上げやすく書かれている」との批判が出たものだった。
案の定、今年1月から北朝鮮は(3)と(4)の名簿を出したがった。現在の焦点は、7月までに、北朝鮮が(1)から(4)まで耳をそろえて調査結果を出してくるのか、あるいは出さない形で別の展開となるのか、である。
北朝鮮は、当初から「遺骨と墓地」で日本資金の獲得を狙っていた。北朝鮮に残る引き揚げ者などの日本人遺骨は約2万柱。北朝鮮がもくろんだ資金は1柱100万-200万円で200億~400億円…
現状では、北朝鮮拉致被害者を除外しようとしたため、この皮算用は“風前のともしび”である。


■不誠実に対する制裁カードがあるんだぞ

交渉が最終ラウンドに入ったいま、日本は拉致問題解決を望む日本の圧倒的な世論を背景に、3枚の圧力カードを持っている。
まず「厳正な法執行」の2枚、つまり組織(朝鮮総連)やトップ(議長)への捜査を急ぐという選択。そして再制裁という1枚。
不誠実な対応で交渉が決裂した場合、日本には「人的往来の禁止」も含む強い制裁の選択肢があるということを、北朝鮮に明確に伝える必要がある。



◆昭和53(1978)年6月頃
元飲食店店員拉致容疑事案
被害者:田中 実さん(拉致被害時28歳)
欧州に向け出国したあと失踪。
平成14年10月にクアラルンプールで行われた日・朝国交正常化交渉第12回本会談及び平成16年に計3回行われた日・朝実務者協議において我が方から北朝鮮側に情報提供を求めたが、第3回協議において北朝鮮側より北朝鮮に入境したことは確認できなかった旨回答があった。
平成17年4月に田中 実さんが拉致認定されて以降、政府は北朝鮮側に対し即時帰国及び事案に関する真相究明を求めてきているが、これまでに回答はない。

《特定失踪者・金田竜光さんについて》
◆氏名:金田 竜光
(かねだたつみつ)
◆失踪年月日:昭和54(1979)年ごろ
◆生年月日:昭和27(1952)年
◆性別:男
◆当時の年齢:26歳
◆身長:180cm
◆当時の身分:ラーメン店店員
◆当時の住所:兵庫県神戸市東灘区青木
◆失踪場所:神戸市東灘区

【失踪状況】
金田さんは韓国籍
田中 実さん(昭和53年に拉致)と同じ施設で育った。
昭和52年ごろ、田中 実さん拉致実行犯・韓竜大(ハン・ヨンデ)が経営するラーメン店「来大」に就職。昭和53年に田中 実さんを「来大」に紹介し、ともに働く。同年、韓竜大の誘いにより、田中 実さんがオーストリア・ウィーンに出国。
半年ほどして、田中 実さんが差出人になっているオーストリアからの国際郵便を受け取る。その内容は「オーストリアはいいところであり、仕事もあるのでこちらに来ないか」との誘いであった。
田中さんの誘いを受け、打ちあわせと言って東京に向かったが、以後一切連絡がなく、行方不明となる。
連絡がないことを不思議に思った友人が、この間の事情を知る韓竜大に再三説明を求めたが、「知らない」と繰り返す。
その後失踪した2人を知る友人たちの間で「2人は北朝鮮にいる」との噂が広まり、韓竜大に近づく者がいなかった。
救う会兵庫」は平成14年10月に韓竜大、15年7月にその共犯である曹廷楽(チョ・ジョンガリ)についての告発状を兵庫県警に提出している。

《特定失踪者・藤田 進さんについて》
※国連人権理事会が調査要請を受理した事案
◆氏名:藤田 進
(ふじたすすむ)
◆失踪年月日:昭和51(1976)年2月7日
◆生年月日:昭和31(1956)年6月16日
◆性別:男
◆当時の年齢:19歳
◆当時の身分:東京学芸大学教育学部1年生
◆当時の住所:埼玉県川口市南町
◆特徴:
1)家ではあまりしゃべらないタイプ
2)ギターがうまかった
◆失踪場所:埼玉県川口市の自宅

【失踪状況】
失踪当日6:30~7:00頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らず。
後に新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが該当者はいなかった。
脱北者北朝鮮から持ち出した写真が鑑定の結果、藤田 進さんである可能性が極めて高いことが判明。
平成16年1月28日、埼玉県警に告発状提出。

救う会認定拉致被害者・福留貴美子さんについて》
◆氏名:福留 貴美子
(ふくとめきみこ)
◆失踪年月日:1976(昭和51)年7月18日または19日
◆生年月日:1952(昭和27)年1月1日
◆当時の身分:アルバイト
◆当時の住所:東京都渋谷区恵比寿
◆最終失踪関連地点:海外

【失踪状況】
1976(昭和51)年7月中旬、同居していた友人に「モンゴルに行く」と言い残して出国後、行方不明となる。
1980(昭和55)年3月、突然同居していた渋谷区恵比寿の友人宅に現れた後、横浜市の友人宅に2泊した後、「大阪に行く」と言い残して再び行方不明となるが、後に北朝鮮に渡ったよど号犯の岡本 武と結婚し2児をもうけていたことが明らかになる。
1996(平成8)年夏によど号犯グループの小西隆裕から実家に「1988(昭和63)年夏に土砂崩れで死亡したと北朝鮮側から知らせを受けた」旨の手紙が送られてきたが、真相は不明のままである。

新潟県警・愛知県警公開特定失踪者・渡邉浩成さんについて》
◆氏名:渡邉 浩成
(わたなべひろまさ)
◆当時の年齢:23歳(昭和60年当時)
◆当時の住所:愛知県名古屋市中区
新潟県三条市出身
◆当時の職業:郵便局員
◆身長:170くらい

【失踪状況】
昭和60年12月、岐阜県岐阜市の職場を出た後、行方不明になっています。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。