【みんな生きている】横田めぐみさん/産経新聞
《拉致は人権侵害の総本山!横田拓也さんが短波放送にメッセージ》
北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの弟・拓也さんは5月3日、アメリカ・ロサンゼルスでのシンポジウムで、対北朝鮮制裁の再発動を訴えた。16年前の5月3日はアメリカ大統領が初めて公に北朝鮮による拉致事件に言及した日。
当時のビル・クリントン(Bill Clinton)大統領は
「日本はこの問題が解決するまで追及し続けなければならない」
と述べたが、世論は今も追及し続けているのだろうか。
「拉致を認めておきながら、いまだに人質外交として苦しみを長引かせている」。
拓也さんは北朝鮮を強く批判した。何度も裏切られ、うちひしがれた。
めぐみさん誕生前、「拓也」という名前が用意された。生まれてくるのは男児だと思われたからだ。その名を受け継いだ。もう一人の双子の弟が哲也さんだ。
「2人も弟が生まれたよ」。
めぐみさんは自慢して回った。姉が忽然と姿を消した後、拓也さんらは母、早紀江さん(79歳)と新潟市の海岸を捜して歩いた。疲れても、痛くても。食卓は明るさを失い、家族旅行もなくなった。そうした状況を「我が事としてとらえてほしい」と言う。
拓也さんにとってアメリカは思い出深い。9年前の4月、早紀江さんがアメリカ下院公聴会で「なぜ、助けられないのか、口惜しくて、悲しくてたまりません」と涙ながらに訴えた際、北朝鮮提供の不安げな表情のめぐみさんの写真を掲げた。
ジョージ・ブッシュ(George Walker Bush)前大統領とも早紀江さんと一緒に面会した。この訪米で「家族はつらい思いをしている。でも一番つらいのは姉です」と言ったのを思いだす。
今回、特定失踪者問題調査会の北朝鮮向け短波放送の収録も行われ、拓也さんはめぐみさんに呼びかけた。
「拓也です。お姉ちゃん元気ですか。40年近くも助けられずに申し訳ない。諦めないで元気でいてください。父も母も元気でやっています」。
珍しく、声をつまらせ、涙をこらえた。
「日本の領土、領海を侵犯してきた北朝鮮の犯罪行為。交渉は存在しない。日本は要求し、応えなければ制裁を加えなければならないと思う」。
国家が試されているのかもしれない。
◆昭和52(1977)年11月15日
少女拉致容疑事案
被害者:横田めぐみさん(拉致被害時13歳)
新潟市において下校途中に失踪。
平成16年11月に開催された第3回実務者協議において、北朝鮮側はめぐみさんが1994(平成6)年4月に死亡したとし「遺骨」を提出したが、めぐみさんの「遺骨」とされた骨の一部からは同人のものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定結果を得た。
平成18年4月には日本政府の実施したDNA検査により、横田めぐみさんの夫が昭和53年に韓国より拉致された当時高校生の韓国人拉致被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明した。
※「白い翼でも黒い翼でも、赤い翼でも青い翼でも、何でも結構なんで、帰って来られる翼をめぐみに与えてほしい」
(横田早紀江さん。拉致被害者・横田めぐみさんの母)
※「正義は必ず勝つ、と私は信じていますので、あとしばらくお力をお貸しください」
(横田哲也さん。拉致被害者・横田めぐみさんの弟)
【拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日(キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員の辛光洙(シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県の曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。
北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの弟・拓也さんは5月3日、アメリカ・ロサンゼルスでのシンポジウムで、対北朝鮮制裁の再発動を訴えた。16年前の5月3日はアメリカ大統領が初めて公に北朝鮮による拉致事件に言及した日。
当時のビル・クリントン(Bill Clinton)大統領は
「日本はこの問題が解決するまで追及し続けなければならない」
と述べたが、世論は今も追及し続けているのだろうか。
「拉致を認めておきながら、いまだに人質外交として苦しみを長引かせている」。
拓也さんは北朝鮮を強く批判した。何度も裏切られ、うちひしがれた。
めぐみさん誕生前、「拓也」という名前が用意された。生まれてくるのは男児だと思われたからだ。その名を受け継いだ。もう一人の双子の弟が哲也さんだ。
「2人も弟が生まれたよ」。
めぐみさんは自慢して回った。姉が忽然と姿を消した後、拓也さんらは母、早紀江さん(79歳)と新潟市の海岸を捜して歩いた。疲れても、痛くても。食卓は明るさを失い、家族旅行もなくなった。そうした状況を「我が事としてとらえてほしい」と言う。
拓也さんにとってアメリカは思い出深い。9年前の4月、早紀江さんがアメリカ下院公聴会で「なぜ、助けられないのか、口惜しくて、悲しくてたまりません」と涙ながらに訴えた際、北朝鮮提供の不安げな表情のめぐみさんの写真を掲げた。
ジョージ・ブッシュ(George Walker Bush)前大統領とも早紀江さんと一緒に面会した。この訪米で「家族はつらい思いをしている。でも一番つらいのは姉です」と言ったのを思いだす。
今回、特定失踪者問題調査会の北朝鮮向け短波放送の収録も行われ、拓也さんはめぐみさんに呼びかけた。
「拓也です。お姉ちゃん元気ですか。40年近くも助けられずに申し訳ない。諦めないで元気でいてください。父も母も元気でやっています」。
珍しく、声をつまらせ、涙をこらえた。
「日本の領土、領海を侵犯してきた北朝鮮の犯罪行為。交渉は存在しない。日本は要求し、応えなければ制裁を加えなければならないと思う」。
国家が試されているのかもしれない。
◆昭和52(1977)年11月15日
少女拉致容疑事案
被害者:横田めぐみさん(拉致被害時13歳)
新潟市において下校途中に失踪。
平成16年11月に開催された第3回実務者協議において、北朝鮮側はめぐみさんが1994(平成6)年4月に死亡したとし「遺骨」を提出したが、めぐみさんの「遺骨」とされた骨の一部からは同人のものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定結果を得た。
平成18年4月には日本政府の実施したDNA検査により、横田めぐみさんの夫が昭和53年に韓国より拉致された当時高校生の韓国人拉致被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明した。
※「白い翼でも黒い翼でも、赤い翼でも青い翼でも、何でも結構なんで、帰って来られる翼をめぐみに与えてほしい」
(横田早紀江さん。拉致被害者・横田めぐみさんの母)
※「正義は必ず勝つ、と私は信じていますので、あとしばらくお力をお貸しください」
(横田哲也さん。拉致被害者・横田めぐみさんの弟)
【拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日(キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員の辛光洙(シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県の曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。