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【みんな生きている】家族の思い編/FNN

《「勝負の夏」から「決着の秋」へ!FNNが伝える拉致被害者家族の思い》

日本から北朝鮮を訪れた当時の小泉首相に、金正日キム・ジョンイル)総書記が拉致を認め、被害者5人が帰国してから、9月で丸12年です。しかし北朝鮮は、いまだに12人の拉致被害者については、新たな情報を出していません。さらに、拉致の可能性が高いとされている特定失踪者は、数多くいます。その拉致問題が今、大きく動こうとしています。
北朝鮮が拉致の再調査に合意したのが、2014年の7月。そして9月、最初の報告は、日本側に示される見通しとなっています。
拉致という卑劣な行為によって奪われた家族を、ただ帰してほしい、その思いだけで、ひたすら待ち続けてきた家族は今、どんな思いを抱いているんでしょうか。


拉致被害者田口八重子さんの兄・飯塚繁雄さん(76歳)が、

「今年こそ、日本に帰れるよう、お星様によろしくお願いします」

と、仙台七夕まつりで短冊にしたためた妹への思い。
飯塚さんは、八重子さんの写真を離さず持ち歩いているといい、

「これがね、わたしの手帳に挟んで30年も。いつも、ここに挟んで。さびちゃいけないから、ビニールにかぶせてね。この顔をじっと見られないですよ。かわいそうで。訴えているわけですね。『あんちゃん、早く助けて』と」

と語りました。
奪われた肉親の帰国を祈り、その実現をひたすら訴え続けてきた家族たち。
北朝鮮の特別調査委員会が、近く拉致被害者・特定失踪者たちの再調査結果を示すのを前に、さまざまな思いを抱いています。


■特定失踪者家族の思い

古川了子さんの姉・竹下珠路さん(70歳)は

「正直、今一番期待をしている」

と語りました。
遠山常子さんの姉・小川正子さん(62歳)は

「『もしかしたら帰ってくるんじゃ』と思う反面、『無理じゃないか』と」

と語りました。


横田めぐみさんの家族の思い

横田めぐみさんの両親もまた、複雑な思いを抱いています。
横田めぐみさんの母・早紀江さん(78歳)は

「(報告を前に、やはり緊張感というのは?)いら立ちですね。イライラしますね」

と語りました。
横田めぐみさんの父・滋さん(81歳)は

「向こう(北朝鮮)が誠実にやってくれるのかどうか、なかなか、われわれも確信が持てない」

と語りました。
37年前、当時中学1年だった少女・めぐみさんを北朝鮮に拉致され、横田さん夫妻の運命は一変しました。
早紀江さんは

「本当につらかったですからね。泣いていたし、叫んでいたし。『こんなところに生きていたくない』というぐらいまでいっていた」

と語りました。
そんな時、早紀江さんは、聖書と出会い、1984年、めぐみさんが20歳を迎えたこの年に、クリスチャンになりました。
日本各地で講演会をするかたわら、早紀江さんは月に1度、教会に足を運んでいます。
その祈りの場で、早紀江さんが語り続けてきた内容をまとめた、1冊の本『愛は、あきらめない』。


■モンゴルでウンギョンさんと面会

2014年3月、モンゴルの迎賓館でめぐみさんの娘・ウンギョンさんの一家と初めて面会した横田夫妻
早紀江さんの著書には、帰国後の会見で伝え切れなかった、知られざる面会の舞台裏も描かれていました。
面会場所となるモンゴルの迎賓館に到着したのは、3月10日の夜のことでした。
早紀江さんは

「もう遅いから、あした会えるんだなと思っていたら、もう遅いのに、ちゃんと夫婦でチマ・チョゴリ着て、『(朝鮮語で)ごあいさつに先に伺いました』って言って。北朝鮮のしきたりなので。『おじいちゃま、おばあちゃまには、ごあいさつをまずさせていただきます』って。きちっと座って、『遠いところ、よく来てくださいました』って。『こんにちは』って、2人がひざまずいて、お辞儀をして、びっくり仰天しちゃって。目上に対してのきちんとしたところは、残っているんだって。まず感心しちゃったんですね」

と語りました。
しかし、この時、ウンギョンさんからは、思わぬ言葉をぶつけられたといいます。
早紀江さんは

「『なんで、12年間も会いに来てくれなかったんですか』って、一番最初に言われて。やっぱり待っていたんだなって」

と語りました。
2002年の小泉訪朝後、FNNは、ウンギョンさんをピョンヤンで取材しました。
当時14歳のウンギョンさんは、横田夫妻について、「母方のおじいさんとおばあさんが生きていると思うと、本当にうれしいです。最初は、本当に驚きました。本当なのかなと」と話していました。
あれから12年、ウンギョンさんの口から出た、「なぜ、あの時、会いに来てくれなかったのか」という言葉に、早紀江さんは著書で「これは国どうしの問題で、おばあちゃんにとって、あなたは大事な孫だから信じているし、嫌いだから来なかったわけではないのよと、はっきり伝えました。そうしたら、彼女は泣きやんで、その後はにこやかに話すようになりました」としています。
ようやく実現した、ウンギョンさんとの面会。
ウンギョンさんは、生まれて10カ月になる女の赤ちゃんをもうけていました。
横田さん夫妻は、日本をたつ前から、ひ孫に贈るプレゼントを用意していました。
滋さんは

「このくらい小さなオルガンみたいなのを持っていったんですけど、そうしたら、その時は、スイッチ押してみて、音を出すくらいだったんですけど、次の日になったら、ちゃんと使いこなして」

と語りました。
限られた時間の中で、横田さん夫妻とウンギョンさんは、めぐみさんについての記憶をたどりあったといいます。
早紀江さんは

「めぐみのことを何でもいいから知りたい?という問いに(ウンギョンさんが)小さい時に、お母さんと一緒にいた時の思い出として、歯が悪くて、歯医者さんによく通っていたとか。知っていたことだけは、言っていた。猫を飼っていたとか、あの子、好きだったんですよ、猫とか」

と語りました。
そうしたやり取りの中で、ウンギョンさんは、北朝鮮当局の説明同様、「お母さんは死亡した」と話したということです。
早紀江さんは

「わたしは『あなたのお母さんのことは、絶対に生きていると信じてるんですよ』と言った。(ウンギョンさんは)不思議な感じで聞いてました」

と語りました。
面会は4日間。
やがて、ウンギョンさん一家との別れの時が訪れました。
次にいつ会えるのかわからないウンギョンさんに、早紀江さんが贈った言葉は、「希望」でした。
早紀江さんは

「また不思議なことが起きて、チャンスが来て会える日が来るんだから、絶対希望を持ってなきゃだめよって。『希望ですよ』って言ったら、涙ぐみながら、手を振ってくれてね、最後、見送ってくれましたね」

と語りました。


■講演を通して、未成年者に拉致問題を語り継ぐ

横田さん夫妻は、学校でも講演を行い、当時のめぐみさんと同じ年齢の生徒たちを前に、拉致問題を訴えています。
早紀江さんの著書には、生徒たちから寄せられた講演の感想文も掲載されています。
中学3年生の女子生徒は、

「わたしは毎日、家族に『おはよう』が言える。1日の最後に『おやすみ』が言える。わたしにとっては、それが当たり前だった。たぶんそれは、家族と別れたことがないからだと思う。わたしの当たり前を素晴らしいことだと思うようにしてくれたのは、横田夫妻のおかげだ」

と寄せています。
早紀江さんは

「(めぐみさんは)『ただいま』が言えてないんですね。大きな声で『ただいま』って、帰ってくる子だったので、それを聞かないといけないと思う」
、「早く早く、その日が来てほしいなって思いますけどね」

と語りました。



拉致事件、再調査の現状】
北朝鮮による拉致被害者らの調査に関する初回の報告を9月第2週以降に行う方向で日・朝両政府が調整していることが、8月21日分かった。日本側は報告の内容を精査の上、疑問点をただしたりするための調査団を北朝鮮に派遣する準備に入った。複数の政府関係者が明らかにした。
最初の調査報告をめぐっては、両政府は7月1日の北京での外務省局長級協議で、「夏の終わりから秋の初め」に行うことで合意した。岸田文雄外相は8月10日にミャンマーで非公式に協議した北朝鮮のリ・スヨン外相に着実な調査を要請。
前後して両政府が水面下で接触した結果、安倍晋三首相が9月3日に内閣改造、6~8日の日程でスリランカバングラデシュを訪問した後に、局長級協議を改めて開いて報告を受けることになった。
日本政府が認定した未帰国の拉致被害者12人について、北朝鮮はこれまで「8人死亡・4人未入国」と説明してきた。
今回の調査は金正恩キム・ジョンウン)第1書記体制に代わってから初めて行われるもので、第1書記の父親の金正日キム・ジョンイル)総書記時代に展開した主張を覆す形で新たな結果を示すかが焦点。また、拉致の疑いがある「特定失踪者」の安否情報をどの程度提示するかも注目される。
日本政府の調査団は、外務省を中心に拉致問題対策本部警察庁などの担当者で構成される。
北朝鮮に一定期間滞在し、関係者への聴取や現地視察を行う方向だ。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。