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【みんな生きている】山本美保さん/JNN

《「勝負の夏」から「決着の秋」へ!山本美保さんを救出しろ!》

30年前から行方不明になっている特定失踪者・山本美保さん。
10年前、遺体で見つかったとされましたが、多くの謎が浮上していて、北朝鮮に拉致された可能性もあるというのです。

仲睦まじく成人式の晴れ着を着る双子の姉妹。
しかし、半年後、2人は突然離ればなれになってしまいます。

Q.こちらは美保さんが住んでいた家?
「そうです、実家です。2階に部屋があって、2階の奥の方が私と美保の部屋」
(美保さんの双子の妹・森本美砂さん)

甲府市に住み、大学受験の勉強をしていた山本美保さん(当時20)。30年前、「図書館に行く」と言って原付バイクで家を出たまま、忽然と姿を消しました。
残された双子の妹・美砂さん(50歳)。行方を捜し続けています。

「黙って外泊する姉ではなかったので、どうしたんだろうね、どうしたんだろうねって」
(森本美砂さん)

原付バイクはJR甲府駅前で見つかりましたが、バッグはなぜか甲府市からおよそ200キロ離れた新潟県柏崎市の海岸で見つかりました。

「この状態で海岸にぬれてなく置いてありました」
(森本美砂さん)

バッグには、現金やキャッシュカードがそのまま残されていました。
その後、実家には不審な無言電話が、4年間にわたってかかってくるようになったと言います。

「向こうですすり泣く声が聞こえてくるんです」
(森本美砂さん)

不可解な失踪から18年後。
当時の北朝鮮金正日キム・ジョンイル)総書記が、日本人の拉致を認め謝罪。美砂さんは姉も北朝鮮に拉致されたのではないかと考え、特定失踪者問題調査会に届け出て、署名活動を行ってきました。また、北朝鮮で美保さんによく似た女性を見たと話す脱北者も現れました。
しかし、2004年3月、警察から突然の連絡がありました。美保さんの失踪から17日後、山形県遊佐町の海岸で発見された遺体が美保さんだと言うのです。死因は水死。自殺の可能性があり、DNA鑑定により特定できたとしていました。家族は、この結果に納得していません。

「DNA鑑定結果の発表の後にいろいろなものを見せられたときに、これ違う、これ違う、全然美保のものじゃない。美保の体形じゃないと」
(森本美砂さん)

身長では差がないように見えますが、座高は異なり、遺体は95センチ。一方、美保さんは87センチだったと言います。さらに、遺体の前歯には治療痕がありましたが、美保さんは前歯を治療したことはなかったと言います。また、遺体の衣服やネックレスは一緒に暮らす家族にとって見覚えがないものでした。
DNA鑑定の精度は、美保さんの鑑定が行われた10年前と比べて、現在は飛躍的に向上。4兆7000億人に1人の確率で人物を特定できます。
しかし…

「DNAも2度の鑑定で使ってしまってありませんと言われた。再鑑定できない状況」
(森本美砂さん)

警察は、DNA鑑定書も開示していません。不信感を募らせた家族は、おととし、「警察のDNA鑑定の結果は受け入れられない」として、日弁連に人権救済を申し立てました。
一方、警察は、なぜか美保さんを北朝鮮に拉致された可能性が排除できない失踪者のリストに入れています。
人権救済の申し立てについて日弁連は、来週にも判断を示す見通しです。

《特定失踪者・山本美保さんについて》
◆氏名:山本 美保
(やまもとみほ)
◆失踪年月日:昭和59(1984)年6月4日
◆生年月日:昭和39(1964)年3月3日
◆性別:女性
◆当時の年齢:20歳
◆身長:160cm
◆体重:51kg
◆当時の身分:大学受験生
◆当時の住所:山梨県甲府市
◆特徴:
1)左目の下に3針縫った跡
2)左手にしもやけの軽いケロイド
◆靴のサイズ:23.5cm
◆失踪場所:山梨県甲府市の自宅を出て以来消息不明

【失踪状況】
「図書館に行く」と言ってバイクで出かけたまま失踪。甲府駅前にバイクが置かれているのが発見された。
4日後、新潟県柏崎市荒浜海岸にセカンドバックが落ちていたとの連絡。
失踪半年後の11月6日から無言電話が4年半ほど続く。
無言電話はほとんど数秒で切れるものだったが、失踪から3年4ヶ月後と3年6ヶ月後の2回の電話は10分~15分ほど続き、相手はじっと聞いている様子だった。
3年6ヶ月後の電話はすすり泣くような声が聞かれた。
平成16年1月29日、山梨県警に告発状提出。



拉致事件、再調査の現状】
北朝鮮による拉致被害者らの調査に関する初回の報告を9月第2週以降に行う方向で日・朝両政府が調整していることが、8月21日分かった。日本側は報告の内容を精査の上、疑問点をただしたりするための調査団を北朝鮮に派遣する準備に入った。複数の政府関係者が明らかにした。
最初の調査報告をめぐっては、両政府は7月1日の北京での外務省局長級協議で、「夏の終わりから秋の初め」に行うことで合意した。岸田文雄外相は8月10日にミャンマーで非公式に協議した北朝鮮のリ・スヨン外相に着実な調査を要請。
前後して両政府が水面下で接触した結果、安倍晋三首相が9月3日に内閣改造、6~8日の日程でスリランカバングラデシュを訪問した後に、局長級協議を改めて開いて報告を受けることになった。
日本政府が認定した未帰国の拉致被害者12人について、北朝鮮はこれまで「8人死亡・4人未入国」と説明してきた。
今回の調査は金正恩キム・ジョンウン)第1書記体制に代わってから初めて行われるもので、第1書記の父親の金正日キム・ジョンイル)総書記時代に展開した主張を覆す形で新たな結果を示すかが焦点。また、拉致の疑いがある「特定失踪者」の安否情報をどの程度提示するかも注目される。
日本政府の調査団は、外務省を中心に拉致問題対策本部警察庁などの担当者で構成される。
北朝鮮に一定期間滞在し、関係者への聴取や現地視察を行う方向だ。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。