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【みんな生きている】木村かほるさん・今井 裕さん/NHK[青森]

政府は北朝鮮拉致被害者等の調査する「特別調査委員会」について、実効性のある調査が行われると判断できるとして日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除する方針を決めました。
青森県内の特定失踪者の家族からは調査の進展を期待する声等が聞かれました。
安倍晋三総理大臣は、記者団に対し

「国家的な意思決定ができる組織が前面に出る、かつてない体制ができたと判断した。全面的な解決に向けていっそう身を引き締めて全力であたっていく」

と述べました。
そのうえで、北朝鮮の「特別調査委員会」について、実効性のある調査が行われると判断できるとして、7月4日に委員会が発足し全面的な調査が行われる時点で日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除する方針を決めました。
青森県に関係する特定失踪者のうち、八戸市出身で、昭和35年に秋田市で行方が分からなくなった木村かほるさん(当時21歳)の家族と、弘前市で昭和44年に行方が分からなくなった今井 裕さん(当時18歳)の家族からは、今後の調査の進展を期待する声等が聞かれました。
木村かほるさんの姉の天内みどりさんは

「権限がある組織が調査するということなので進展を信じたいと思っています。日本側の態度をみて北朝鮮も真剣に取り組むようになるのではないか」

と述べ、制裁の一部解除が調査の進展につながることを期待していました。
一方、今井 裕さんの兄の英輝さんは

「調査委員会がどれだけの権限を持って早いスピードで調査できるのか進み具合に注目していきたい」

と調査の進展に期待を示しながらも、

「結果が見えない中、権限のある組織が調査に入ると北朝鮮が発表しただけで制裁の一部解除を決めるのは時期尚早だ」

と述べて、政府に強い姿勢で対応するよう求めていました。
青森県警察本部によりますと、北朝鮮に拉致された可能性が否定できない青森県出身の行方不明者は木村さんや今井さんたち合わせて10人に上っていて、警察が行方を捜査しています。

《特定失踪者・木村かほるさんについて》
◆氏名:木村 かほる
(きむらかおる)
◆失踪年月日:昭和35(1960)年2月27日
◆生年月日:昭和13(1938)年8月27日
◆性別:女性
◆当時の年齢:21歳
◆当時の身分:日赤秋田高等看護学校3年生
◆当時の住所:秋田県秋田市中通
◆特徴:
1)中肉中背
2)色白でいつも微笑みをたたえ優しい感じ
◆失踪場所:秋田市

【失踪状況】
戸籍上は「かをる」だが、日常は「かほる」としていた。
看護学校の卒業式を10日後に控えていた。
「ちょっと出かけてくる」と寮の同室の友人数人に言って出て行ったきり戻らず。
平成16年9月29日、青森県八戸署に告発状を提出。

《特定失踪者・今井 裕さんについて》
◆氏名:今井 裕
(いまいゆたか)
◆失踪年月日:昭和44(1969)年3月2日
◆生年月日:昭和25(1950)年12月20日
◆性別:男
◆当時の年齢:18歳
◆身長:170cmくらい
◆体重:62kg~63kg
◆当時の身分:青森県弘前工業高校3年生
◆特徴:
1)眼鏡着用
2)右の頬に子どものとき木に登ってついた傷が残っている
◆失踪場所:青森県弘前市

【失踪状況】
3月4日の卒業式で答辞を読むことになっていたので、「制服のボタンを買いに行く」と自宅を出たまま行方不明に。
東京の営団地下鉄(現・東京メトロ)に就職が決まっていた。
平成16年1月29日、青森県弘前署に告発状提出。

《特定失踪者・平山政子さんについて》
◆氏名:平山 政子
(ひらやままさこ)
◆失踪年月日:昭和47(1972)年3月24日
◆生年月日:昭和21(1946)年9月4日
◆性別:女性
◆当時の年齢:25歳
◆当時の身分:飲食店従業員
◆失踪場所:青森県青森市

【失踪状況】
当日、絵を描いていた姉妹が入賞し、お祝いのために待ち合わせていたが現れず。
アパートを訪ねると、特に身辺整理した様子もなく、普段の生活状況のまま。
無断欠勤したことのない政子さんが丸2日も職場に連絡せず失踪。
趣味の手品のアシスタントとしてステージに立つこともあった。
同日、ハワイで行われるマジックの世界大会に参加するための打ち合わせがあった。

《特定失踪者・山口浩一さんについて》
◆氏名:山口 浩一
(やまぐちこういち)
◆失踪年月日:昭和48(1973)年5月
◆生年月日:昭和29(1954)年9月28日
◆性別:男
◆当時の年齢:18歳
◆失踪場所:青森県十和田湖か?

【失踪状況】
青森の十和田湖のホテルから「お金が足りない」と連絡のあと、女性とともに行方不明。

《特定失踪者・木本佳紀さんについて》
◆氏名:木本 佳紀
(きもとよしのり)
◆失踪年月日:昭和60(1985)年10月1日
◆生年月日:昭和38(1963)年5月18日
◆性別:男
◆当時の年齢:22歳
◆身長:176cm
◆体重:65kg
◆当時の身分:大学生
◆血液型:A型
◆視力:右0.06、左0.05で眼鏡使用
◆特徴:
1)手首に火傷の跡ありケロイド状になっている
2)首の後ろに大きなほくろがある
◆失踪場所:青森県弘前市

【失踪状況】
下宿先アパートから失踪。
机の引き出しには免許証、預金通帳、キャッシュカード、旅行鞄、衣類も残っている。
10月1日付の新聞が部屋の中にあった。

青森県警公開特定失踪者・佐々木ハルヱさんについて》
◆氏名:佐々木 ハルヱ
◆年齢:39歳(昭和58年当時)
◆住所:青森県十和田市
◆職業等:看護師
◆身長:155くらい

【事案概要(失踪状況)】
昭和58年10月24日午前8時30分ころ、「仕事に行ってくる」と言って外出したが、同日午後零時45分ころ、青函連絡船から「佐々木ハルヱさんが運転免許証等を船内に残していなくなった。」旨の連絡があり、以降行方不明となった。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。