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【みんな生きている】日比谷公会堂編/NHK

北朝鮮に拉致された被害者の家族が肉親の早期救出を訴える大規模な集会を開き、3月に再開した日・朝の政府間協議について、「被害者は死亡した」とする北朝鮮の説明を覆し、拉致問題の全面的な解決につながるよう政府の取り組みを求めました。
東京都千代田区日比谷公会堂で開かれた集会にはおよそ1,500人が参加し、このなかで家族会代表で田口八重子さんの兄の飯塚繁雄さんは
「先月以降いろいろな動きが出てきたが、本当に動くのかどうかは今後を見てみないと分からない。欲しいのは結果であり、『解決済みだ』とする北朝鮮の姿勢をどう変えていくのか、日本政府が責任を持って解決していただきたいし世論も後押ししてほしい」
と訴えました。
市川修一さんの兄の健一さんは家族の高齢化に触れ
「被害者の親の平均年齢は86歳になりました。私の父も99歳になり早く弟を抱かせてやらないと間に合わなくなります。被害者全員が日本の地を踏むまで世論の力を貸してほしい」
と呼びかけました。
また、田口八重子さんの長男で拉致当時1歳だった飯塚耕一郎さんは
拉致問題は人の命がかかった問題であり、政府は、交渉のやり方次第では被害者の命が消えるかもしれないという緊張感をもって協議に臨んでほしい」
と求めました。
拉致問題を巡っては、先月およそ1年4か月ぶりに日・朝の政府間協議が再開され、日本側は被害者の再調査等の取り組みを求めましたが、今回の協議が被害者の帰国につながるものになるか具体的な道筋は見えていません。
集会では、北朝鮮が「死亡した」としている横田めぐみさんたち8人の拉致被害者を含む全員の帰国を改めて求めるとともに、協議が拉致問題の全面的な解決につながるよう、日本政府の取り組みを求める大会決議を採択しました。
菅 義偉官房長官北朝鮮による拉致被害者の救出を訴える集会に出席し、日・朝の政府間協議等日本の主体的な取り組みを通じて北朝鮮から前向きな対応を引き出し、拉致問題の全面解決を図る等とする、安倍晋三総理大臣のメッセージを代読しました。
このなかで菅官房長官は、東日本大震災の被災地の視察で集会に出席できなかった安倍総理大臣のメッセージを代読しました。
それによりますと「拉致被害者とご家族が抱きあう日が訪れるまで私の使命は終わらないと覚悟しており、その決意のもと拉致問題の全面解決に向けて全力を尽くして参ります」としています。
そのうえで「拉致問題の解決のためには、我が国自身が対話と圧力の基本姿勢のもと、主体的な取り組みを行う必要があり、先月、日・朝政府間協議を開催した。拉致問題北朝鮮の前向きな対応を引き出し、全面解決を図って参ります」としています。
また古屋圭司拉致問題担当大臣は、
「解決のためあらゆる手段を尽くしている。経過ではなく結果であり、被害者をいかにして全員取り戻していくかに尽きる。解決に向けて、環境は少しずつではあるが確実に整いつつある。だからこそ、さらに強い意志と決意を持って圧力をかけながら、世界各国と連携していく」
と述べました。


拉致問題巡る動き

拉致問題を巡っては先月以降さまざまな動きが出ています。
まず国際社会では、日本の拉致被害者の家族が3月、拉致が発覚して以降初めて国連の人権理事会に出席。
世界各国に解決への協力を呼びかけました。
人権理事会は、北朝鮮による日本人拉致等を「国際法上の人道に対する罪に当たる」としたうえで責任者を法的に裁くことなどを求める決議を可決。
北朝鮮に解決を強く促しました。
また先週には、来日したアメリカのバラク・オバマ(Barack Hussein Obama II)大統領が、横田めぐみさんの両親や飯塚繁雄さんたち拉致被害者の家族との面会に応じました。
被害者家族がアメリカの大統領と面会するのは2006年以来のことで、オバマ大統領は
「子を持つ親として家族の気持ちは理解している」
と述べ、支援を表明しました。
日本と北朝鮮の間でも動きがありました。
双方の政府の間で調整が進められた結果、先月、横田さん夫妻と、めぐみさんが北朝鮮で産んだ孫のウンギョンさんとの面会がモンゴルで初めて行われました。
先月末にはおよそ1年4か月ぶりに日本と北朝鮮の政府間協議が再開。
日・朝間の懸案を話し合うため協議を継続することで一致しました。


■帰国への道筋依然見えず

少しずつ動き出した拉致問題を取り巻く情勢。
被害者家族が何より注目しているのは日・朝交渉の行く末です。
1年4か月ぶりに再開した日・朝の政府間協議では、日本側が拉致被害者の再調査等の取り組みを求めたのに対し、北朝鮮側は制裁措置の解除等を求め、今後も協議を続けることで一致しました。
ただ、今回の協議が被害者の帰国につながるものになるのか、具体的な道筋はまだ見えていません。
仮に北朝鮮が再調査に応じた場合でも、これまで北朝鮮の信憑性の低い調査結果に翻弄されてきた被害者家族の間には、きちんとした調査が行われるのか不安の声があるのも事実です。
北朝鮮が繰り返してきた「被害者8人は死亡した」とする説明を覆せるのか、そして、協議が被害者の帰国に結びつくものになるのか、家族は交渉の進展に望みを託しながらも、北朝鮮の出方を案じる日々が続いています。
一方で北朝鮮は、ここに来て核実験の準備とも受け止められる動きを見せています。
被害者家族からは、核実験が実施されれば日・朝協議の先行きが一層見通せなくなるうえ、国際社会の関心が再び拉致問題から離れる事態は避けられないとして、北朝鮮の動きを懸念する声も出ています。

◆昭和53(1978)年6月頃
李恩恵(リ・ウネ)拉致容疑事案
被害者:田口八重子さん(拉致被害時22歳)
昭和62年11月の大韓航空機(KAL)爆破事件で有罪判決を受けた元北朝鮮諜報員金賢姫(キム・ヒョンヒ)氏は「李恩恵(リ・ウネ)」という女性から日本人の振る舞い方を学んだと主張している。この李恩恵は行方不明となった田口さんと同一人物と考えられる。
北朝鮮側は、田口さんは1984(昭和59)年に原 敕晁さんと結婚し、1986(昭和61)年の原さんの病死後すぐに自動車事故で死亡したとしているが、これを裏付ける資料等の提供はなされていない。
平成21年3月、金賢姫氏と飯塚家との面会において、金氏より田口さんの安否にかかる重要な参考情報(注)が新たに得られたことから、現在、同情報についての確認作業を進めている。
(注)金氏の発言:「87年1月にマカオから帰ってきて、2月か3月頃、運転手から田口さんがどこか知らないところに連れて行かれたと聞いた。86年に一人暮らしの被害者を結婚させたと聞いたので、田口さんもどこかに行って結婚したのだと思った」

※「八重子さんが北朝鮮南浦港に着いたとき、女性通訳に“私には子供が二人いて、どうしても日本に帰らなくてはならないので、返してほしい”と何回も言ってお願いしたそうです。八重ちゃんの思いは最初から最後まで子供のことでいっぱいでしたし、今でも間違い無く“今、彩ちゃんはいくつになって、耕ちゃんはいくつになった”と毎年計算して、どんな大人になったか知りたがっているはずです。すごく会いたがっていると思います」
拉致被害者・地村富貴恵さんの証言)

◆昭和55(1980)年6月中旬
辛光洙シン・グァンス)事件
被害者:原 敕晁さん(拉致被害時43歳)
宮崎県内で発生。
本件については、北朝鮮工作員辛光洙シン・グァンス)が韓国当局に対し、原さん拉致を認める証言をしている。
捜査当局は辛光洙について、これまで原さんに成りかわった容疑で逮捕状の発付を得て国際手配するとともに、政府として北朝鮮側に身柄の引渡しを要求してきたが、平成18年4月には、新たに拉致容疑の主犯として逮捕状が発付されている。
北朝鮮側は身柄の引渡しに応じていないどころか、同人を「英雄」として称えている。
また、捜査当局は原さん拉致容疑の共犯者である金吉旭(キム・キルウク)についても逮捕状の発付を得ており、国際手配を行うなどの所要の措置を講じている。
北朝鮮側は、原さんは1984(昭和59)年に田口八重子さんと結婚し、1986(昭和61)年に肝硬変で死亡したとしているが、これを裏付ける資料等の提供はなされていない。

※「辛光洙は原 敕晁さんになりすますために、原さんについてのあらゆることを調べあげた。それこそ、チャーハンの作り方まで調べあげた」
(石高健次さん)

◆昭和53(1978)年8月12日
アベック拉致容疑事案
被害者:増元るみ子さん(拉致被害時24歳)
被害者:市川修一さん(拉致被害時23歳)
「浜に夕日を見に行く」と言って出かけたまま失踪。
北朝鮮側は、1979(昭和54)年7月に2人は結婚し、市川修一さんは同年9月に心臓麻痺で死亡し、増元るみ子さんは1981(昭和56)年に心臓麻痺で死亡したとしているが、これを裏付ける資料等の提供はなされていない。

◆昭和52(1977)年11月15日
少女拉致容疑事案
被害者:横田めぐみさん(拉致被害時13歳)
新潟市において下校途中に失踪。
平成16年11月に開催された第3回実務者協議において、北朝鮮側はめぐみさんが1994(平成6)年4月に死亡したとし「遺骨」を提出したが、めぐみさんの「遺骨」とされた骨の一部からは同人のものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定結果を得た。
平成18年4月には日本政府の実施したDNA検査により、横田めぐみさんの夫が昭和53年に韓国より拉致された当時高校生の韓国人拉致被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明した。

※「拉致された人たちが家族のところに帰るのは人間として当たり前のこと」
横田早紀江さん。拉致被害者横田めぐみさんの母)



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。