【みんな生きている】文京徳編／聯合ニュース
《張成沢時代、完全に終焉？「社労青四人組」文京徳氏失脚》
昨年１２月に処刑された北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）元国防副委員長の側近とされた文京徳（ムン・ギョンドク）氏が平壌市党責任書記から解任されたことが４月１０日、確認された。
北朝鮮の朝鮮中央放送は同日、金正恩（キム・ジョンウン）第１書記を国防第１委員長に再推戴（再選出）したことを祝い、平壌市内で開かれた催しを放送し、「金寿吉（キム・スギル）平壌市党責任書記が司会をする」と伝えた。
文氏は１月７日までは北朝鮮メディアで平壌市党責任書記と紹介されていたが、３月９日に行われた第１３期最高人民会議代議員（国会議員に相当）選挙の当選者名簿に名前がなく、粛清の可能性が取り沙汰されていた。
新任の金寿吉書記は朝鮮人民軍の総政治局組織副局長とされる。
《参考・社労青四人組》
【張成沢行政部長を支える「社労青４人組」（２０１２年）】
北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）行政部長は１９８２年、朝鮮労働党青少年事業部の副部長となって中央の舞台に登場した。現在、「張成沢派」に分類される人脈の中には１９８０年～１９９０年代に張行政部長が朝鮮労働党の青年事業に携わっていた頃から近い関係にある顔ぶれが多い。これらの人物は２０１０年９月、朝鮮労働党代表者会で金正恩（キム・ジョンウン）副委員長が金正日（キム・ジョンイル）総書記の後継者に内定して公の場に登場した際、同じタイミングで一斉に躍進した。
２０１０年、正恩氏とともに朝鮮人民軍大将の称号を受けて党書記・党中央軍事委員に昇格した崔竜海（チェ・リョンヘ）氏や、５４歳で政治局の最年少候補委員にして平壌市党責任書記を務める文京徳（ムン・ギョンドク）氏、李英洙（リ・ヨンス）党勤労団体部長、池在竜（チ・ジェリョン）駐中大使たちは１９８０年代に張行政部長が管轄していた社会主義労働青年同盟（社労青）の出身だ。これらの人物は「社労青の４人組」と呼ばれる。社労青は朝鮮労働党の青年組織で、組織員数は朝鮮労働党の党員（最大３００万人）よりも多い５００万人と推定されている。
崔竜海書記は崔賢（チェ・ヒョン）元人民武力部長の息子で、１９８６年に社労青中央委員長を務めた。
文京徳書記はかつて社労青副委員長を務め、２００４年に張行政部長が「分派助長」の嫌疑で失脚した際、他の社労青出身者とともに地方に左遷された。しかし、ボスである張氏が２００７年に行政部長に昇進すると、２００９年に行政部副部長のポストに電撃的に登用された。
また、文京徳書記は２００２年１０月、張行政部長に随行して経済視察団の一員として韓国を訪れた際、常に張行政部長の傍らに付き添って指示事項を忠実に履行する姿を見せた。
李英洙部長は１９７８年に３２歳という若さで社労青のトップの座に就き、１９８６年に崔竜海書記に委員長職を譲るまで８年にわたり在職した。
その後、２００４年に張行政部長が失脚したときに地方に追いやられたが、張行政部長が復権した２００６年に行政部副部長として復帰を果たした。
池在竜駐中大使も社労青で成長した。
高官出身のある脱北者は
「金養健（キム・ヤンゴン）党統一戦線部長や金永日（キム・ヨンイル）党国際部長も１９７０年代に張行政部長が朝鮮労働党国際部で勤務していた頃、一緒に働いていた」
と話した。
日本でプロレス界の大物として認められた力道山の娘婿の朴明哲（パク・ミョンチョル）体育相は張行政部長の古くからの側近だ。
朴氏は２００４年、張行政部長とともに表舞台から姿を消したが、２０１０年６月に体育相に起用された。朴体育相の父のパク・チョンホは金日成（キム・イルソン）主席（かつては首相）から韓国にスパイとして派遣されたが逮捕され、１９５９年に死刑になった。こうした理由から金主席は朴体育相を重用したという。
また、朴体育相は２００２年の釜山アジア大会のとき、朝鮮体育指導委員長として北朝鮮選手団を率いて韓国を訪れた。
北朝鮮に詳しい消息筋は
「２０１０年９月の朝鮮労働党代表者会より３ヶ月早く朴氏が復帰したとき、“張成沢ライン”の完全復活を予想した」
と語った。朴氏は体育相への登用に先立ち、２００９年に国防委員会参事として復帰した。
張行政部長の軍部での人脈はまだ明確にはなっていないが、対北朝鮮消息筋からは
「軍部でも張行政部長と親交のある人物は少なくないだろう」
という分析が多い。朝鮮人民軍の次帥と中将を務めた２人の兄のおかげだというわけだ。
特に張行政部長は２００８年８月に金総書記が脳血管疾患で倒れて以降、非常事態に陥った政局を収集する過程で党だけでなく軍にも自分の側近を多数配置したとの見方が出ている。また、金正恩体制の「新軍部」の中心人物として浮上した李英鎬（リ・ヨンホ）総参謀長も張行政部長と親しい間柄にあるという話も聞かれる。
これに対し、白承周（ペク・スンジュ）韓国国防研究院安保戦略研究センター長は
「軍部内には張成沢氏に反対するグループがある。張氏によって排除されたと推定される李済剛（リ・ジェガン）組織指導部第１副部長と親しかった軍関係者たちが“反張成沢グループ”と見られる」
と語った。
【崔賢】
（１９０７～１９８２）
抗日パルチザンの一人。
【分派助長】
派閥形成のこと。
金総書記は生前、派閥形成を一切許さなかった。
【力道山】
（１９２４～１９６３）
本名は金信洛（キム・シルラク）。
日本のプロレスラー。
【李済剛】
２０１０年、不審な交通事故で死亡。
※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
（脱北者Ａさん。脱北者手記集より）
昨年１２月に処刑された北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）元国防副委員長の側近とされた文京徳（ムン・ギョンドク）氏が平壌市党責任書記から解任されたことが４月１０日、確認された。
北朝鮮の朝鮮中央放送は同日、金正恩（キム・ジョンウン）第１書記を国防第１委員長に再推戴（再選出）したことを祝い、平壌市内で開かれた催しを放送し、「金寿吉（キム・スギル）平壌市党責任書記が司会をする」と伝えた。
文氏は１月７日までは北朝鮮メディアで平壌市党責任書記と紹介されていたが、３月９日に行われた第１３期最高人民会議代議員（国会議員に相当）選挙の当選者名簿に名前がなく、粛清の可能性が取り沙汰されていた。
新任の金寿吉書記は朝鮮人民軍の総政治局組織副局長とされる。
《参考・社労青四人組》
【張成沢行政部長を支える「社労青４人組」（２０１２年）】
北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）行政部長は１９８２年、朝鮮労働党青少年事業部の副部長となって中央の舞台に登場した。現在、「張成沢派」に分類される人脈の中には１９８０年～１９９０年代に張行政部長が朝鮮労働党の青年事業に携わっていた頃から近い関係にある顔ぶれが多い。これらの人物は２０１０年９月、朝鮮労働党代表者会で金正恩（キム・ジョンウン）副委員長が金正日（キム・ジョンイル）総書記の後継者に内定して公の場に登場した際、同じタイミングで一斉に躍進した。
２０１０年、正恩氏とともに朝鮮人民軍大将の称号を受けて党書記・党中央軍事委員に昇格した崔竜海（チェ・リョンヘ）氏や、５４歳で政治局の最年少候補委員にして平壌市党責任書記を務める文京徳（ムン・ギョンドク）氏、李英洙（リ・ヨンス）党勤労団体部長、池在竜（チ・ジェリョン）駐中大使たちは１９８０年代に張行政部長が管轄していた社会主義労働青年同盟（社労青）の出身だ。これらの人物は「社労青の４人組」と呼ばれる。社労青は朝鮮労働党の青年組織で、組織員数は朝鮮労働党の党員（最大３００万人）よりも多い５００万人と推定されている。
崔竜海書記は崔賢（チェ・ヒョン）元人民武力部長の息子で、１９８６年に社労青中央委員長を務めた。
文京徳書記はかつて社労青副委員長を務め、２００４年に張行政部長が「分派助長」の嫌疑で失脚した際、他の社労青出身者とともに地方に左遷された。しかし、ボスである張氏が２００７年に行政部長に昇進すると、２００９年に行政部副部長のポストに電撃的に登用された。
また、文京徳書記は２００２年１０月、張行政部長に随行して経済視察団の一員として韓国を訪れた際、常に張行政部長の傍らに付き添って指示事項を忠実に履行する姿を見せた。
李英洙部長は１９７８年に３２歳という若さで社労青のトップの座に就き、１９８６年に崔竜海書記に委員長職を譲るまで８年にわたり在職した。
その後、２００４年に張行政部長が失脚したときに地方に追いやられたが、張行政部長が復権した２００６年に行政部副部長として復帰を果たした。
池在竜駐中大使も社労青で成長した。
高官出身のある脱北者は
「金養健（キム・ヤンゴン）党統一戦線部長や金永日（キム・ヨンイル）党国際部長も１９７０年代に張行政部長が朝鮮労働党国際部で勤務していた頃、一緒に働いていた」
と話した。
日本でプロレス界の大物として認められた力道山の娘婿の朴明哲（パク・ミョンチョル）体育相は張行政部長の古くからの側近だ。
朴氏は２００４年、張行政部長とともに表舞台から姿を消したが、２０１０年６月に体育相に起用された。朴体育相の父のパク・チョンホは金日成（キム・イルソン）主席（かつては首相）から韓国にスパイとして派遣されたが逮捕され、１９５９年に死刑になった。こうした理由から金主席は朴体育相を重用したという。
また、朴体育相は２００２年の釜山アジア大会のとき、朝鮮体育指導委員長として北朝鮮選手団を率いて韓国を訪れた。
北朝鮮に詳しい消息筋は
「２０１０年９月の朝鮮労働党代表者会より３ヶ月早く朴氏が復帰したとき、“張成沢ライン”の完全復活を予想した」
と語った。朴氏は体育相への登用に先立ち、２００９年に国防委員会参事として復帰した。
張行政部長の軍部での人脈はまだ明確にはなっていないが、対北朝鮮消息筋からは
「軍部でも張行政部長と親交のある人物は少なくないだろう」
という分析が多い。朝鮮人民軍の次帥と中将を務めた２人の兄のおかげだというわけだ。
特に張行政部長は２００８年８月に金総書記が脳血管疾患で倒れて以降、非常事態に陥った政局を収集する過程で党だけでなく軍にも自分の側近を多数配置したとの見方が出ている。また、金正恩体制の「新軍部」の中心人物として浮上した李英鎬（リ・ヨンホ）総参謀長も張行政部長と親しい間柄にあるという話も聞かれる。
これに対し、白承周（ペク・スンジュ）韓国国防研究院安保戦略研究センター長は
「軍部内には張成沢氏に反対するグループがある。張氏によって排除されたと推定される李済剛（リ・ジェガン）組織指導部第１副部長と親しかった軍関係者たちが“反張成沢グループ”と見られる」
と語った。
【崔賢】
（１９０７～１９８２）
抗日パルチザンの一人。
【分派助長】
派閥形成のこと。
金総書記は生前、派閥形成を一切許さなかった。
【力道山】
（１９２４～１９６３）
本名は金信洛（キム・シルラク）。
日本のプロレスラー。
【李済剛】
２０１０年、不審な交通事故で死亡。
※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
（脱北者Ａさん。脱北者手記集より）
