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【みんな生きている】朝鮮総連中央本部競売編/NHK

競売にかけられていた朝鮮総連在日本朝鮮人総連合会の不動産について、東京地方裁判所は入札で22億円余りの価格をつけた香川県高松市の企業に売却を許可する決定を出しました。一方、朝鮮総連は「もう一度入札をやり直すべきだ」と主張して裁判所に抗告を申し立てました。
東京・千代田区にある朝鮮総連中央本部の土地と建物は整理回収機構の申し立てで競売にかけられましたが、2回の入札でも売却先が決まらない異例の事態が続きました。
3月20日に入札の結果を改めて明らかにする「開札」が行われ、前回2番目に高い価格をつけた高松市の「マルナカホールディングス」が22億1000万円で落札していました。
東京地方裁判所民事執行センターはこの企業が不動産を買い受ける資格を持っているかどうか等を審査した結果、24日、正式に売却を許可する決定を出しました。
理由について裁判所は「2回目の入札で最も高い価格をつけたモンゴルの企業には書類に不備があり、落札する資格がなかった。3回目の入札をやるよりも本来落札できたはずの高松市の企業に売却することが妥当だ」等と指摘しています。
これに対して朝鮮総連は「3回目の入札を行えば高松市の企業より高い価格での売却が可能だったことは明らかで、もう一度入札をやり直すべきだ。裁判所はモンゴルの企業を事実上排除していて不公平で違法だ」等と主張し東京高等裁判所に抗告を申し立てました。
裁判所は今後改めて判断を行いますが、今回の決定が確定し、定められた期限のうちに代金が納められれば、この企業が所有者となります。
企業の弁護士は、「明け渡しを求めていきたい」としていて今後、所有権が移った段階で朝鮮総連の最大の活動の拠点は失われる可能性が高まりました。


■総連「入札やり直すべき」

会見で朝鮮総連中央本部のチン・ギルソン権利福祉局長は「高松市の企業の落札額は非常に低く、このまま売却してしまうことは我々にとっても大きな損失だ。入札をやり直した方がより多額の債務を返済できる」と主張しました。
さらに朝鮮総連が債務の返済に向けて以前、整理回収機構と和解に向けた話し合いを進めていたことを明らかにしたうえで「当時、話し合いで出た金額よりも今回の落札額は大幅に下回っている。整理回収機構がこの金額で満足する理由が分からない」等と主張しました。


代理人弁護士「買い受ける方針」

マルナカホールディングス代理人の白井一郎弁護士は高松市で記者会見を開き
「抗告が申し立てられたので裁判所の判断を待ちたいが、買い受ける方針に変わりはなく、朝鮮総連に貸すことも考えていない」
と述べ、朝鮮総連側に明け渡しを求めていく考えを改めて示しました。
また、入札に参加した理由については
「東京の都心にある立地のよい物件ということと、競売にかけられていたので、通常の取引より安く取得できる可能性があったからだ」
と話し、投資目的であり、政治的な目的は一切ないことを強調しました。


■異例の経過たどった入札

朝鮮総連の最大の拠点は、2度目の入札でも落札者が確定しない異例の事態が続いていました。
去年3月に行われた最初の入札で落札した鹿児島県の宗教法人は、北朝鮮と交流がある代表の池口恵観法主が、施設を取得できれば朝鮮総連に貸すことを決め、両者の間では確約書が交わされていました。
このため中央本部が朝鮮総連の活動拠点として存続する公算が大きくなっていましたが、金融機関等との交渉が不調に終わり、代金を納められず取得を断念。入札はやり直されることになりました。
去年10月に行われた2度目の入札では、その9か月前に設立されたばかりのモンゴルの企業が50億1000万円と最も高い価格をつけました。
しかし、その後、裁判所が「提出された文書はカラーコピーの疑いがあり、モンゴル政府の認証もない」等として落札者とは認めないと決定。
2度目の入札でも落札者が確定しない異例の事態となり、結果的に、朝鮮総連が施設を使用する状態が続いています。


■競売巡る今後の焦点は

一昨年7月に中央本部の競売が決まると、北朝鮮の国営メディアは「朝鮮総連を抹殺しようとするものだ」と日本を非難しました。
北朝鮮朝鮮総連の幹部は、施設が人手に渡ることに危機感を募らせているとみられています。
落札者に決まった高松市の企業は、朝鮮総連に明け渡しを求めていく考えを明らかにしています。
朝鮮総連は、今回の裁判所の決定を不服として抗告を申し立てていて、今後、所有権が企業に移っても明け渡しに応じない可能性もあります。
仮に立ち退かない場合は、裁判所の引き渡し命令で強制的に退去させることも可能で、24日の決定が確定し企業が不動産を取得したあと、明け渡し交渉がどう展開していくかが今後の焦点になります。


■総連の今後は

活動拠点からの退去が現実味を帯びるなか、朝鮮総連は今後、どう出るのか?
公安当局は、内部で執行部の責任を問う声が強まり、さらに求心力が低下するのは避けられないとみて、情報収集を進めることにしています。
公安当局によりますと、最盛期の昭和40年代から50年代にかけては、朝鮮総連のもとで30万人近い人たちが活動していましたが、金日成(キム・イルソン)主席の死去や世代交代が進んだ影響で、その数は減少傾向にあるということです。
これに加えて、拉致事件や核実験等に失望して組織を離れる人が相次ぎ、現在は8万人を割り込んでいるのではないかとみられています。
活動拠点からの退去が現実味を帯びるなか、公安当局は、内部で執行部の責任を問う声が強まり、さらに求心力が低下するのは避けられないとみています。
朝鮮総連は去年、3年ごとに開いてきた、活動方針を決める全体大会を延期しました。
「競売の原因を作り解決策を示せない執行部が内部からの批判を交わすねらいがあった」と公安当局では分析していて、5月下旬の開催が決まった全体大会を前に、今の拠点を維持しようとさまざまな手段を講じてくるのではないかとみて動向を注視することにしています。
一方、公安当局は、立ち退くことになった場合も、組織の資金力が低下するなか、新たに土地を取得して施設を建てる可能性は低いとみています。
一部のフロアーが空いている東京・文京区にある関連施設が移転先の候補の1つになるのではないかとみていて、活動拠点がどうなるかについても情報収集を進めることにしています。


■中央本部にかつて所属した男性は

朝鮮総連中央本部にかつて所属していた在日朝鮮人の男性はNHKの取材に対し「中央本部は場所といい建物の規模といい、1つのシンボルみたいなところがあったので、それがなくなるのは組織そのものが小さくなり衰えていくような感じで、いい気持ちはしないし寂しい感じがする」と複雑な心境を語りました。
そのうえで、「朝鮮総連北朝鮮と一体になり特にバブルの時代に多額の送金をしたことなどが乱脈経営につながっていった印象がある。
今回の競売の結果については割り切らないといけないと感じている」と話しました。
また、朝鮮総連が裁判所の決定を不服として抗告を申し立てたことについて「法律上の手続きで事態を打開できるのであればいいが、それでダメなら従うしかないと思う」と話しました。
今後の組織運営については、朝鮮総連自身が北朝鮮との関係を見直すべき時期に来ているのではないかとしたうえで、「難しいかもしれないが、これまでの頑ななやり方を変えて、もう少し柔軟に今までと違った考え方も取り入れなければならないと思う」と話しました。

朝鮮総連中央本部とは?】
朝鮮総連は、北朝鮮を支持する在日朝鮮人で構成される組織で、一部の幹部は、北朝鮮の国会に当たる最高人民会議の代議員を務める等、本国の指導部と密接な関係があります。
3月9日に行われた最高人民会議の選挙でも許宗萬(ホ・ジョンマン)議長たち5人が代議員に選出されました。
その活動拠点の中央本部は、朝鮮総連結成30年を記念して、昭和61年に今のビルに建て替えられました。
各部署が置かれ、在日朝鮮人の権利擁護などの活動に取り組んできた経緯から、北朝鮮在日朝鮮人を結ぶ「事実上の大使館」とも呼ばれます。
敷地面積はおよそ2,300平方メートル、建物は地上10階、地下2階の鉄筋コンクリート造りで、延べ床面積は1万1700平方メートルあります。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。