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【みんな生きている】横田めぐみさん/FNN(1)

今から37年前に拉致された横田めぐみさんの娘、キム・ウンギョンさんと初めて面会した横田 滋さん(81歳)と早紀江さん(78歳)夫妻が記者会見を開きました。横田さん夫妻は「願っていたことが実現し、奇跡的な日だった」と胸の内を語りました。
早紀江さんは
「本当に何か夢のような、本当にわたしたちにとっても、奇跡的な日だったと思っています」
と話しました。
滋さんは
「大人になって、背の高さも、早紀江よりちょっと大きいぐらいで、今は丸顔で、やはり、わたしと同じ家系なのかなっていうような感じを受けました」
と話しました。
孫・ウンギョンさんと会えた喜びや、面会時の様子等について語った横田めぐみさんの父・滋さんと母・早紀江さん。
2002年にウンギョンさんの存在を知ってから12年。
2002年10月、ウンギョンさん(当時15)は「母側のおじいさん、おばあさんが生きていることはとてもうれしい。言葉で表現できません」と話していました。
面会は長年の念願でした。
早紀江さんは
「どこのおばあちゃんでも言うように、同じようにお話をして、本当に普通の感じで、変わりない感じでお話ができて、とても楽しく過ごさせていただきました」
と話しました。
ウンギョンさんは現在26歳となり、北朝鮮の男性と結婚して、10カ月の女の子がいるということです。そのひ孫とも初めて対面しました。
早紀江さんは
「歩行器に乗って、部屋中を1人で動き回って、1人でご機嫌で、手を上げると、にこにこと笑って、『キャー』って言いながら、本当に朗らかに育ってて。自分で歌のような形で、こういうふうに首を振ってね。そういうしぐさがですね、めぐみちゃんが同じころに、『ひょっこりひょうたん島』っていうテレビがあったんですが、それを見て、首を同じように振っていたんですよ」
と話しました。
幼いころのめぐみさんとウンギョンさんの娘を重ね合わせる早紀江さん。
めぐみさんの安否について、早紀江さんは「あの国(北朝鮮)の中で育っている人だし、あんまり言わないほうがいいんだなという思いで、やっぱり、きっと元気でいるに違いないと、また、もう1回あらためて、自分で思うことにして、細かいことを何も聞きませんでした」
と話しました。
ウンギョンさんと別れる際について、早紀江さんは
「わたしは希望をね、みんな希望を持っていようねって。どんなことが起きるかわかんないけれども、希望を持っていましょう。希望ですよって言って、手を握りしめて、向こうもちょっと涙をためながら、にこにこ笑いながら、別れてきました」
と話しました。
今回なぜ、面会は実現したのでしょうか?
政府関係者は
「1つ確実に言えるのは、向こう(北朝鮮)が動いてきたということですね」
と話しました。
一方、2002年に日・朝首脳会談に同行した飯島 勲内閣官房参与は、今回の面会について「外交カードとしては、失敗の策かもしれない」と指摘しました。
飯島内閣官房参与
「『めぐみさんは死んでいた』と追認した形の会い方だったのならば、これから問題が生じる」
等と、今後の拉致問題解決の行方に懸念を示しました。
外信部の鴨下ひろみ東アジア担当部長は
拉致問題が解決済みとする、これまでの対応とは違い、北朝鮮の積極的な姿勢が目立ちます。それだけ、日本からの経済援助に期待を寄せている証拠といえますが、拉致問題について、どこまで本気で取り組む気なのかは、まだ未知数です」
と話しました。

◆昭和52(1977)年11月15日
少女拉致容疑事案
被害者:横田めぐみさん(拉致被害時13歳)
新潟市において下校途中に失踪。
平成16年11月に開催された第3回実務者協議において、北朝鮮側はめぐみさんが1994(平成6)年4月に死亡したとし「遺骨」を提出したが、めぐみさんの「遺骨」とされた骨の一部からは同人のものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定結果を得た。
平成18年4月には日本政府の実施したDNA検査により、横田めぐみさんの夫が昭和53年に韓国より拉致された当時高校生の韓国人拉致被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明した。

※「拉致された人たちが家族のところに帰るのは人間として当たり前のこと」
横田早紀江さん。拉致被害者横田めぐみさんの母)

◆昭和53(1978)年6月頃
元飲食店店員拉致容疑事案
被害者:田中 実さん(拉致被害時28歳)
欧州に向け出国したあと失踪。
平成14年10月にクアラルンプールで行われた日・朝国交正常化交渉第12回本会談及び平成16年に計3回行われた日・朝実務者協議において我が方から北朝鮮側に情報提供を求めたが、第3回協議において北朝鮮側より北朝鮮に入境したことは確認できなかった旨回答があった。
平成17年4月に田中 実さんが拉致認定されて以降、政府は北朝鮮側に対し即時帰国及び事案に関する真相究明を求めてきているが、これまでに回答はない。

《特定失踪者・金田竜光さんについて》
◆氏名:金田 竜光
(かねだたつみつ)
◆失踪年月日:昭和54(1979)年ごろ
◆生年月日:昭和27(1952)年
◆性別:男
◆当時の年齢:26歳
◆身長:180cm
◆当時の身分:ラーメン店店員
◆当時の住所:兵庫県神戸市東灘区青木
◆失踪場所:神戸市東灘区

【失踪状況】
金田さんは韓国籍
田中 実さん(昭和53年に拉致)と同じ施設で育った。
昭和52年ごろ、田中 実さん拉致実行犯・韓竜大(ハン・ヨンデ)が経営するラーメン店「来大」に就職。昭和53年に田中 実さんを「来大」に紹介し、ともに働く。同年、韓竜大の誘いにより、田中 実さんがオーストリア・ウィーンに出国。
半年ほどして、田中 実さんが差出人になっているオーストリアからの国際郵便を受け取る。その内容は「オーストリアはいいところであり、仕事もあるのでこちらに来ないか」との誘いであった。
田中さんの誘いを受け、打ちあわせと言って東京に向かったが、以後一切連絡がなく、行方不明となる。
連絡がないことを不思議に思った友人が、この間の事情を知る韓竜大に再三説明を求めたが、「知らない」と繰り返す。
その後失踪した2人を知る友人たちの間で「2人は北朝鮮にいる」との噂が広まり、韓竜大に近づく者がいなかった。
救う会兵庫」は平成14年10月に韓竜大、15年7月にその共犯である曹廷楽(チョ・ジョンガリ)についての告発状を兵庫県警に提出している。

《特定失踪者・藤田 進さんについて》
※国連人権理事会が調査要請を受理した事案
◆氏名:藤田 進
(ふじたすすむ)
◆失踪年月日:昭和51(1976)年2月7日
◆生年月日:昭和31(1956)年6月16日
◆性別:男
◆当時の年齢:19歳
◆当時の身分:東京学芸大学教育学部1年生
◆当時の住所:埼玉県川口市南町
◆特徴:
1)家ではあまりしゃべらないタイプ
2)ギターがうまかった
◆失踪場所:埼玉県川口市の自宅

【失踪状況】
失踪当日6:30~7:00頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らず。
後に新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが該当者はいなかった。
脱北者北朝鮮から持ち出した写真が鑑定の結果、藤田 進さんである可能性が極めて高いことが判明。
平成16年1月28日、埼玉県警に告発状提出。

《特定失踪者・加藤小百合さんについて》
◆氏名:加藤 小百合
(かとうさゆり)
◆失踪年月日:平成9(1997)年8月18日
◆生年月日:昭和39(1964)年6月5日
◆性別:女性
◆当時の年齢:33歳
◆当時の身分:会社員
◆失踪場所:兵庫県神戸市

【失踪状況】
自宅をいつもと同じように軽装で出たまま行方不明。
その後、ある男性が突然家族のもとに現れ、「8月18日から、1週間ほど自分の家にいた。小百合さんは元気です」と家族に伝えるものの、その経歴などは偽りであり、架空の話ということが判明する。
北朝鮮にいる」との情報がある。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。