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【みんな生きている】日比谷公会堂(8)地村富貴恵さん

浜本七郎(地村富貴恵さんの兄。家族会副代表)

私から一言挨拶させていただきます。
今日は台風の中、足元の悪い中、私個人も「ああ、嫌だなァ」と心の隅で思っていた嵐の中を、こんなにたくさん来ていただいた。我々のことを、国民全体のことを、拉致問題のことを真剣に考えて、ここに出席している方々だと思います。本当に感謝します。ありがとうございます。
先ほどの、惠谷さんと西岡さんの話の続きですが、実際には夕方に拉致されました。清津(チョンジン)は日本海を一晩走れば着くところです。しかし、昼間は日本海のど真ん中に停泊していたそうです。そして夜になって清津に着いた、と言っています。
清津に着いてお互いの安否をお互いに聞いたら、「富貴恵は帰した」、「保志は帰した」と。そのとき本当に自分はどう思ったのか。本当に一人ぼっちになった。
心底から憎悪と悲しさと、淋しさと怖さと、全部ひっくるめてわーっときた。
平壌に連れて行かれて、招待所で1週間泣いたと言っています。23歳でまだ世間のことも何も知らない女の子ですから、実際のことろは1週間泣いて、泣いて、涙が涸れてもどうすることもできない。
北朝鮮人って全部が全部悪い人じゃないんです。人間の心底は、いい人ばかりがいる。一部が悪さをしている。そう思いたいです。そういう中で、まかないのおばさんが、「いつまでも泣いていちゃだめだよ」、「自分の気持を取戻しなさい」と言われてやっと、泣いてたって前に進まないし、後ろにも行けないし、ということで一生懸命朝鮮語を勉強したそうです。
1年4か月経って、三顧の礼じゃないですが、3回、いい人がいるんだけど結婚しないか、と言われました。2回目も同じことをいわれました。同じように断りました。
二人は6月30日に結納を交わしているんです。「私には、結婚相手で決まっている人がいるから結婚しません」と。それで3回目に、「実は保志はいるんだよ」、「富貴恵はいるんだよ」ということで、感謝感激するんです。先ほど言った通りです。どん底に沈めておいて、上にあげる。
そうするとどういうことが起きるかというと、金正日キム・ジョンイル)に感謝の念を抱くわけです。そういう卑劣なやり方をしている。まるでやくざと同じようなやり方です。そういったことで過ごしてきた。
昨日、蓮池 薫さんが静岡で講演しましたね。最後にこう言っています。「命の他は全部剥奪されて生活していた」と。この言葉は、ものすごく重いと思います。実際にこの35年間、未帰国になっている方も、同じような思いで生活しているのではないかと思われます。
私は、この中で、羽田で(家族を)抱きしめた唯一の一人です。そういう仲間が本当にもっと増えたらなと、一人でも二人でも、十人でも二十人でも百人でも、帰国してくれたらなと願っています。
話は戻りますが、今の安倍政権、あれほど諸外国を歴訪している人はいないと思います。これは何を求めているかというと、日本の国益を守るためです。
その安倍総理に交渉の席に立っていただきたい。それをするには、台所である内閣府、そして政治家たち、我々も含めて尻を叩いて頑張ってやっていきたいと思います。
みなさんも是非、応援をよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。



◆昭和53(1978)年7月7日
アベック拉致容疑事案
被害者:地村保志さん(拉致被害時23歳)
地村富貴惠さん(旧姓:濱本)(拉致被害時23歳)
「二人でデートに行く」と言って出かけて以来、失踪。
2人は昭和54年に結婚。
平成14年10月に日本に帰国。
娘1人と息子2人は平成16年5月に帰国。
捜査当局は、拉致実行犯である北朝鮮工作員辛光洙シン・グァンス)について、平成18年2月に逮捕状の発付を得て国際手配するとともに、政府として北朝鮮側に身柄の引渡しを要求している。