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【みんな生きている】平壌科学技術大学編/JNN

情報統制の厳しい北朝鮮で、インターネットに自由に接続ができるうえ、講師が全て外国人という異例の大学がひそかに存在します。アメリカ等各国政府が注目するエリート学生が集まるこの大学に、テレビカメラが世界で初めて入りました。

平壌市内から車でおよそ30分。トウモロコシ畑の先に校舎の一部が見えてきました。屋上には「金正恩キム・ジョンウン)将軍、万歳」と掲げたスローガン。そして、校舎の横には金日成(キム・イルソン)主席と金正日キム・ジョンイル)総書記を称える文字が刻印された塔が立ちます。一見、北朝鮮によくある学校に見えますが、中に入ると、そこには通常見られない光景が広がっていました。

「応用統計処理」の講義。アメリカ人の講師が、ゆっくりながらも全て英語で授業を進めていきます。2年生を対象とした植物学の講義は、講師はロシア人。平壌科学技術大学では、6か国から来たおよそ40人の外国人講師が指導にあたっています。
北朝鮮で外国人が大学で指導するのは、実はここだけだといいます。

「学生の出席率100%」
(ロシア人講師)
「神の導きでここに来ました」
アメリカ人講師)

学生は、北朝鮮政府が選抜した300人のエリート男子学生です。金日成総合大学等の名門大学から編入し、情報通信工学部、農生命食品工学部、産業経営学部の3つの学部のいずれかに在籍しています。

「コンピューター科学を専攻しています。異文化交流に興味がありました」
「他の国の経済を学ぶために来ました」
(学生)

金正恩将軍、命懸けで死守せん!」
隊列を組んで昼食に向かう学生の姿を、もの珍しげに外国人教師が見つめます。

この学校を2010年10月に開校させたキム・ジンギョン総長。韓国生まれのアメリカ国籍で、中国と北朝鮮の市民権も持つ人物です。金正日総書記が北朝鮮にグローバル人材を育てるというキム総長の構想に理解を示したため、開校にこぎつけたといいます。

北朝鮮当局が私を信頼したからです。偉大なる指導者金正日総書記が私を信頼したのです」
平壌科学技術大学キム・ジンギョン総長)

北朝鮮トップのお墨付きを得ているこの大学は、他の大学には許されていない“ある自由”が与えられています。自習室の奥に設置されたインターネットに接続できるパソコン。北朝鮮の大学に存在すること自体、異例中の異例なのです。
北朝鮮は1990年代後半からIT技術の促進に力を入れてきました。しかし、そうした姿勢とは裏腹に、一般市民のインターネット利用を制限する等、情報統制の厳しさは変わりません。世界の情報を瞬時に把握することのできるインターネットは、体制を脅かす危険性をはらむからです。

今年1月、北朝鮮のIT事情を調べるため訪朝した大手IT企業・グーグルの会長が、視察を希望しながらも実現しなかったのが、まさにこの部屋なのです。

Q.インターネットの使用頻度は?
「週2回ほどですかね。もちろんインターネットが目的で入学しました」
(学生)

学生たちは電子メールを持つことを許可されていません。しかし、それ以外は基本的に制限はなく、検索エンジン「グーグル」を使って自由に検索するといいます。
北朝鮮の大学の監督官庁にあたる教育省の担当者に、なぜインターネットの自由なアクセスを許可したか聞いてみました。

Q.専門と関係ないところに学生の興味が広がっていく可能性に懸念を持っているか?
「(懸念は) 少なからずあります。教育と関連のないことに使われないようにしないといけない」
北朝鮮教育省担当者)

100万平方メートルという広大な敷地に、寮の他、食堂や床屋まで完備する平壌科学技術大学。北朝鮮と韓国との合同事業としてスタートしました。運転資金の中心が韓国やアメリカ等にいる個人の献金ですが、南北関係、米・朝関係が冷え込むにつれ、献金も鈍り、資金繰りは厳しいといいます。
資金以外にも抱える問題は、優秀な外国人教師の確保です。

「(教師の確保は)非常に困難 。家族を連れてこられない以上、長期滞在できませんから」
平壌科学技術大学キム・ジンギョン総長)
「非常にすばらしい教授もいますが、,中にはそうでもない人もいて、がっかりすることもあります」(学生)

学生たちに将来なりたい職業を聞きました。

「国をもっと豊かにするのに役立ちたい」
「政府が私に合う職業を選んでくれると思います」
(学生)

北朝鮮政府の一員になりたい」と話す学生に対し、複雑な思いをのぞかせるのが外国人教師たちです。

「政府で政策作りにあたることになる学生もいるでしょうが、私は民間産業に就職する学生が多く出ることを望みます」
平壌科学技術大学パク・チャンモ名誉総長)

3年前に開校した平壌科学技術大学には、まだ卒業生がいません。エリート学生たちが今後、どういう進路を辿るのか…
アメリカ政府がアメリカ人教員から直接聞き取り調査を行う等、その動向を世界が注視しています。



※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)