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【みんな生きている】ラオス脱北者送還問題・駐ラオス韓国大使館編

《以前から脱北者問題への対応が雑だった韓国大使館》

5月28日、「コッチェビ」と呼ばれる孤児出身の脱北者9人が、ラオスから中国を経て北朝鮮に強制送還されるという事件が発生した。9人がラオスで抑留されている間、現地の韓国大使館の対応は不十分だったといわれているが、こうした批判をきっかけに「これまでも大使館は脱北者問題で積極的な姿勢を見せなかった」という指摘が相次いでいる。
韓国与党・セヌリ党の河泰慶(ハ・テギョン)議員と北朝鮮人権改善の会のキム・ヒテ事務局長は6月3日、記者会見を開き

「2006年6月に脱北者10人がラオス当局に拘束された際も、韓国大使館に救出を要請したが、大使館の職員は誰も姿を見せず、支援もなかった」

と主張し、韓国大使館が脱北者を放置した事例(約10件)を明らかにした。
また、2004年に北朝鮮を脱出したものの中国当局に拘束され、およそ10日後に北朝鮮へ強制送還された国軍捕虜ハン・マンテクさんの家族は3日

「当時、在中韓国大使館に(ハンさんが)拘束されている場所などを具体的に伝えたにもかかわらず、(大使館側は)面会にも行かないなど、十分な対応を行わなかった」

として、韓国政府を相手取り1億ウォン(現在のレートで890万円)の損害賠償請求訴訟を起こした。
韓国外交部(省に相当)は、こうした問題が起こるたびに

脱北者の身辺保護と脱北ルート保存のため、あらゆる努力を傾けた」

と語ってきた。
しかし、現場の外交官が不誠実・無関心だったという証言は後を絶たず、国を相手取った訴訟まで起きている。
現地の大使館員たちが努力を尽くしたにもかかわらず、当事者が満足できなくてこのような事態になっているのだろうか。それとも逆に外交官らが、脱北者問題は(功績が)目立たなくて面倒ばかりだとして、避けようとするからだろうか。証言を総合してみると、どう考えても状況は後者らしい。
韓国国民は、脱北者が発生した場合、大使館の外交官や情報関連機関の担当者が協力して対応に当たっているものと思っている。脱北者への対処のあり方が非難の的になり続けているのは、協力体制が円滑でなかったり、一方の業務がおろそかだったりするからだ。
韓国政府は、まずこの部分から明確にし、外交当局・情報当局の双方による責任転嫁の陰に隠れている問題の真相を究明しなければならない。そうして初めて、脱北者の強制送還という事態の再発を防ぐ対策を見いだすことができるだろう。

【国軍捕虜】
朝鮮戦争当時に北朝鮮の捕虜になった韓国軍兵士のこと。
【コチェビ】
家族や親戚等の身寄りがなく路上生活をしながら物乞いをする人を指す北朝鮮の表現。
「コチェビ」の語源は複数あるが、「流浪、遊牧、さすらい」という意味のロシア語「コチェビエ(кочевье)」に由来するというのが最も有力。
北朝鮮の外交官や海外駐在員たちは帰国後に必ず「思想総和」を行なわなければならない。1989年旧ソ連崩壊後、1990~1992年の間にロシアから帰国した北朝鮮の外交官たちは「旧ソ連社会主義を放棄したことにより、人民生活が破綻し浮浪者が急増した。彼らを見て我々式(北朝鮮社会主義を最後まで守らなければと確信した」という回答が流行した。
北朝鮮の外交官は小型ビデオカメラでロシアの浮浪者の姿を撮影し、ロシアの実態として説明したりもした。その際、「コチェビエ」という単語が北朝鮮の幹部たちに初めて紹介されたと伝えられる。
1995年の春、飢えに苦しむ地方住民が平壌に移動し始め、彼らの姿を見た幹部たちが「我が国にもコチェビエが誕生したか」と嘆き、一般住民の間に「コチェビ」という言葉が広く使用されるようになった。



※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)