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【みんな生きている】横田めぐみさん

北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの両親が大分県宇佐市で講演し、飯島 勲内閣官房参与北朝鮮の要人との会談を受けて政府が交渉の再開を模索していることについて、
「政府は、一部の被害者だけを取り返して終わりにするのではなく、全員の帰国に向け、最後までやり遂げてほしい」
と訴えました。
5月25日、宇佐市で開かれた講演会で、横田めぐみさんの父親の滋さん(80歳)は
「娘が拉致されてから35年が経過しており、家族は1日も早い解決を望んでいます」
とした上で、飯島内閣官房参与が今月、北朝鮮を訪れ要人と会談したことについて、
「政府から説明を受けておらず詳しい内容は分かりませんが、日本と北朝鮮拉致問題で交渉するきっかけになるのではないかと期待しています」
と話しました。
また、母親の早紀江さん(77歳)は政府が北朝鮮との交渉の再開を模索していることについて、
「被害者の大切な人生が、このまま消えて終わってしまうことがあってはなりません。政府は、一部の被害者だけを取り返して終わりにするのではなく、被害者全員が帰国しない限り北朝鮮との国交正常化はないという方針のもと、最後までやり遂げてほしい」
と求めました。

◆昭和52(1977)年11月15日
少女拉致容疑事案
被害者:横田めぐみさん(拉致被害時13歳)
新潟市において下校途中に失踪。
平成16年11月に開催された第3回実務者協議において、北朝鮮側はめぐみさんが1994(平成6)年4月に死亡したとし「遺骨」を提出したが、めぐみさんの「遺骨」とされた骨の一部からは同人のものとは異なるDNAが検出されたとの鑑定結果を得た。
平成18年4月には日本政府の実施したDNA検査により、横田めぐみさんの夫が昭和53年に韓国より拉致された当時高校生の韓国人拉致被害者・金英男(キム・ヨンナム)氏である可能性が高いことが判明した。

◆昭和53(1978)年6月頃
元飲食店店員拉致容疑事案
被害者:田中 実さん(拉致被害時28歳)
欧州に向け出国したあと失踪。
平成14年10月にクアラルンプールで行われた日・朝国交正常化交渉第12回本会談及び平成16年に計3回行われた日・朝実務者協議において我が方から北朝鮮側に情報提供を求めたが、第3回協議において北朝鮮側より北朝鮮に入境したことは確認できなかった旨回答があった。
平成17年4月に田中 実さんが拉致認定されて以降、政府は北朝鮮側に対し即時帰国及び事案に関する真相究明を求めてきているが、これまでに回答はない。

《特定失踪者・金田竜光さんについて》
◆氏名:金田 竜光
(かねだたつみつ)
◆失踪年月日:昭和54(1979)年ごろ
◆生年月日:昭和27(1952)年
◆性別:男
◆当時の年齢:26歳
◆身長:180cm
◆当時の身分:ラーメン店店員
◆失踪場所:神戸市東灘区

【失踪状況】
金田さんは韓国籍
田中 実さん(昭和53年に拉致)と同じ施設で育った。
昭和52年ごろ、田中 実さん拉致実行犯・韓竜大(ハン・ヨンデ)が経営するラーメン店「来大」に就職。昭和53年に田中 実さんを「来大」に紹介し、ともに働く。同年、韓竜大の誘いにより、田中 実さんがオーストリア・ウィーンに出国。
半年ほどして、田中 実さんが差出人になっているオーストリアからの国際郵便を受け取る。その内容は「オーストリアはいいところであり、仕事もあるのでこちらに来ないか」との誘いであった。
田中さんの誘いを受け、打ちあわせと言って東京に向かったが、以後一切連絡がなく、行方不明となる。
連絡がないことを不思議に思った友人が、この間の事情を知る韓竜大に再三説明を求めたが、「知らない」と繰り返す。
その後失踪した2人を知る友人たちの間で「2人は北朝鮮にいる」との噂が広まり、韓竜大に近づく者がいなかった。
救う会兵庫」は平成14年10月に韓竜大、15年7月にその共犯である曹廷楽(チョ・ジョンガリ)についての告発状を兵庫県警に提出している。

《特定失踪者・藤田 進さんについて》
※国連人権理事会が調査要請を受理した事案
◆氏名:藤田 進
(ふじたすすむ)
◆失踪年月日:昭和51(1976)年2月7日
◆生年月日:昭和31(1956)年6月16日
◆性別:男
◆当時の年齢:19歳
◆当時の身分:東京学芸大学教育学部1年生
◆特徴:
1)家ではあまりしゃべらないタイプ
2)ギターがうまかった
◆失踪場所:埼玉県川口市の自宅

【失踪状況】
失踪当日6:30~7:00頃、以前から言っていた新宿のガードマンのバイトに行くといって服を持って家を出たまま帰らず。
後に新宿にある全ての警備会社に電話で問い合わせたが該当者はいなかった。
脱北者北朝鮮から持ち出した写真が鑑定の結果、藤田 進さんである可能性が極めて高いことが判明。
平成16年1月28日、埼玉県警に告発状提出。

《特定失踪者・平本敏昭さんについて》
◆氏名:平本 敏昭
(ひらもととしあき
◆失踪年月日:昭和25(1950)年9月21日
◆生年月日:昭和4(1929)年6月19日
◆性別:男
◆当時の年齢:21歳
◆身長:180cm
◆当時の身分:広島県内で小学校教諭
◆失踪場所:大分県中津市

【失踪状況】
8月17日10時頃、学校へ出勤したまま行方がわからなくなる。
9月7~8日頃学校から電話で出勤していないことを知る。
その後しばらくして、大分県中津市の朝鮮在住時代の友人宅にに9月21日頃まで逗留していたと判明。
兄・和丸(昭和23年失踪)を探していたとのこと。

《特定失踪者・玉井敏明さんについて》
◆氏名:玉井 敏明
(たまいとしあき
◆失踪年月日:昭和52(1977)年1月30日
◆生年月日:昭和21(1946)年10月14日
◆性別:男
◆当時の年齢:30歳
◆身長:185cmくらい
◆当時の身分:三菱ふそうでトラックの修理などをする
◆失踪場所:大分県別府市

【失踪状況】
当時妻と一緒にスナックを経営していた。
先に自宅を出た敏明さんは店を開け、従業員に「ちょっと出てくるから」と言って店を出たまま、そのまま行方不明。
急用で何かあったのかもと思っていたが、その後一切連絡もない。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。