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【みんな生きている】姜哲煥編

北朝鮮保衛部の対脱北者工作を姜哲煥記者が斬る!》

このところ、北朝鮮の国家安全保衛部による脱北者への工作が度を越している。まるで面白い話でも聞かせるかの如く、再び北朝鮮入りした脱北者の記者会見をすることが保衛部の主要業務になったかのようだ。
北朝鮮の体制を守る第一線に立っている国家安全保衛部は、最高指導者を除くあらゆる人物を投獄し、収容所に送ることができる非常に強い権力を持つ。1970年代末に自殺した金炳夏(キム・ビョンハ)保衛部長の後任として金正日キム・ジョンイル朝鮮労働党政治委員会委員(当時)が部長を兼任したことからも、その権力の強さがうかがえる。
金正恩キム・ジョンウン朝鮮労働党第1書記が、長年「金氏王朝」の手足となってきた金元弘(キム・ウォンホン)元保衛司令官を保衛部のトップに任命して以降、脱北者工作は日に日に強まっている。
本来、国家安全保衛部は韓国にスパイを派遣する機関ではない。スパイの派遣は、これまで朝鮮労働党直属の「対外連絡部」「35号室」「作戦部」等が担当してきたが、金正日政権の末期になると組織が統廃合され、偵察総局ができた。経済難によって北朝鮮の伝統的な情報網は無力化し、かつてのように巨額の資金を投じて工作を行うことは事実上不可能になった。さらに脱北者が大量に発生し、それによる内部の問題が重要な懸案として浮上し始めた。
国家安全保衛部の主な任務は、金氏王朝と指導部に害を加えようとする内外の勢力を遮断し、監視・統制することだ。保衛部の対外業務も、北朝鮮から海外に出張する人物を監視するためのものだった。
その保衛部が今では、安っぽい「手先」を大勢用意して韓国に送り込んでいる。まるで、北朝鮮内部で住民を監視するため多数の手先を動かしているかのようなやり方だ。北朝鮮の保衛部は、韓国に入国した2万5000人の脱北者を、自分たちの「管轄」と見ている。そして、北朝鮮内部で脱北者に関するあらゆる問題を監視・監督するためには、韓国国内の脱北者の動向を北朝鮮内部と同様に監視すべきだと勘違いしている。
また、巨額の資金を投じてスパイを派遣することよりも、脱北者のために発生する内部の諸問題の方が重大になったことも、要因の一つだ。
脱北者を装ったスパイを派遣することや、再度北朝鮮入りした脱北者を利用した記者会見等は、安上がりな工作である一方、効果は非常に大きく、北朝鮮の窮状を考えると避けられない選択だ。
今の金正恩体制下では、変化の失敗と極限に達した経済難のために、多くの住民が金氏王朝に背を向けている。北朝鮮の人間で韓国行きを夢見ない人間はいない、というほどだ。このため保衛部は、脱北者社会を引き裂いて韓国社会から遠ざけ、仮に北朝鮮住民が韓国に向かったとしても、保衛部の手からは逃れられないことを示そうとしている。
記者も北朝鮮にいるとき、韓国側の人間が北朝鮮にやって来て韓国を罵る場面を、軽蔑の思いで見たことがある。しかし、まだ多数の純朴な住人は、保衛部の心理的工作に引っ掛かっているため、再度北朝鮮入りした脱北者の記者会見は、北朝鮮にとって韓国を罵る「最後の手段」となっている。
国家安全保衛部の脱北者工作に、韓国社会は毅然と対処しなければならない。脱北者により多くの関心を払い、成功する脱北者がもっと増えるよう、韓国社会が温かく受け入れてやれば、保衛部の工作も水泡に帰するだろう。



※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
脱北者Aさん。脱北者手記集より)