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【みんな生きている】蓮池 薫さん

北朝鮮による拉致被害者のうち、5人が帰国して15日で10年が経ちました。
その1人、蓮池 薫さんがNHKのインタビューに応じ、平成14年の日・朝首脳会談の2年前に、北朝鮮当局が一時、被害者の存在を明らかにしようとする動きを見せていたこと等、これまで語ってこなかった帰国までの経緯や拉致問題解決への思いを明かしました。
北朝鮮に拉致された蓮池さん夫妻と地村さん夫妻、それに曽我ひとみさんの5人が24年ぶりに帰国してから10月15日で10年が経ちました。
このうち、昭和53年、大学生の時に拉致された蓮池 薫さんは帰国後、大学に復学。4年前に卒業し、現在は地元の新潟産業大学でハングルの講師をしながら翻訳も手がけています。また、北朝鮮での生活を綴った手記を出版することになっています。
蓮池さんは帰国から10年の節目にNHKのインタビューに応じました。
この中で、日・朝首脳会談の2年前の平成12年夏に、北朝鮮当局が一時、拉致被害者の存在を対外的に明らかにしようとする動きを見せていたことを初めて明らかにしました。
蓮池さんは
北朝鮮当局から『君たちの存在を認めるが、どう思うか』という話が来て、日本の家族に知らされるならいいと思い、そう返事をした。それ以降、その話はどこかへ行ったが、初めて変化の兆しを感じた」
と話しました。
また、平成14年の日・朝首脳会談の3か月前の時点では“拉致されたのではなく、海難事故に遭い、北朝鮮に助けられた”とする架空の筋書きを話すよう北朝鮮当局から指示されていたことを明らかにし、
「シナリオがあって、それを1個1個、頭にたたき込んで、記者会見のときも親に会ったときも、そう言うように指示されていた」
と内幕を語りました。
そのうえで
北朝鮮には、ダメージを少なくするため、拉致被害者を少なく見せ、できるだけ日本に帰らせずに残しておくという考えがある。私についてもそうだったと思う。被害者の運命が取り引きの材料になってはならず、北朝鮮との交渉に当たっては柔軟さが必要だが、命に関わる部分では絶対に妥協してほしくない」
と政府に求めました。
また、蓮池さんは、その後、北朝鮮が拉致を認め帰国できた大きな要因について、深刻な食糧危機に陥っていた1990年代後半の北朝鮮の国内事情を挙げ、
「日本からの経済協力が是が非でも必要な状況で、体制を維持することが第1目標の北朝鮮にとって、疲弊した経済の立て直しが一刻を争う問題になっていた」
と話しました。
そして、
「今も経済状況はさほど変わっておらず、北朝鮮は日本を必要としている。多少のコメの支援等で北朝鮮は動かず、交渉に当たっては拉致問題を解決することで国交を正常化し、経済協力をするという大きな枠組みで取り組むしかないと思う。政府は、北朝鮮が動くような方針をしっかり立てたうえで、政権が代わってもその方針を貫いていく姿勢を見せてほしい」
と求めました。

◆昭和53(1978)年7月31日
アベック拉致容疑事案
被害者:蓮池 薫さん(拉致被害時20歳)
被害者:蓮池祐木子さん(旧姓奥土。拉致被害時22歳)
新潟県内で拉致。
蓮池さんは「ちょっと出かける。すぐ帰る」と言って外出したまま失踪。同様に奥土さんも外出したまま失踪。
2人は昭和55年に結婚。平成14年10月に日本に帰国。
娘1人と息子1人は平成16年5月に帰国。
捜査当局は、拉致実行犯である北朝鮮工作員・通称チェ・スンチョルについて平成18年2月に、また、共犯者である自称・韓明一(ハン・ミョンイル)こと通称ハン・クムニョン及び通称キム・ナムジンについて平成19年2月にそれぞれ逮捕状の発付を得て国際手配するとともに、政府として北朝鮮側に身柄の引渡しを要求している。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。