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【みんな生きている】元工作員証言編

《『産経新聞』が入手した元北朝鮮工作員の証言》

金正日キム・ジョンイル)総書記が日本人拉致を認めた日朝首脳会談から10年。北朝鮮は、帰国させた5人以外の被害者について依然、解放や安否確認に応じる気配はない。
こうした中、『産経新聞』は韓国に在住する元北朝鮮工作員が韓国治安当局に証言した内容を入手した。
金正日政権当時の日本人拉致を含む秘密工作の詳細な実態や、中国が上海沖に停泊した北朝鮮工作母船の活動を黙認していることが明らかになった。


■金総書記が処分した2人は「退職」

2002年の小泉純一郎金正日総書記の日・朝首脳会談の際、金総書記は「(拉致を)担当した責任者2人を処分した」と話していた。
これについて証言は、

北朝鮮ではこうした功績がある人物を絶対に処分できない」

と指摘している。
工作員は「2人の担当責任者」について、1人を「調査部副部長だったチャン・ボンニム」、もう1人を「作戦部副部長だったキム・ソンチョル」だったとしている。
調査部は「対外情報調査部」のことを指すと見られ、部内には日本や韓国、欧州などに分かれた課があり、それぞれの地域でのテロや拉致を担当していた。
1987年11月の大韓航空(KAL)機爆破事件は、韓国工作を担当する対南(対韓国)課が主導した。また、日本人拉致事件では蓮池 薫さん夫妻を拉致を実行したキム・ナムジン、ハン・クムニョン両容疑者や「パク某」ことチェ・スンチョル容疑者ら対日課の複数のチームが動員されていたことが日本の警察当局の捜査で判明している。
一方、作戦部は主に工作船を運用し、調査部工作員の潜入を補助する部署。調査部と作戦部が共同して拉致工作に当たっていたことも日・韓の捜査当局の調べで明らかになっている。
工作員は、金総書記が「処分した」としている2人の人物について、

「既に1980年代には50歳半ばであり、2002年の日・朝首脳会談当時には既に退職していたため、処分とは退職したことを指すのではないか」

と指摘している。


金正日総書記が知らないことはありえない

拉致の任務を遂行する際、北朝鮮では指令内容に関する決裁を受け、決裁には複数の部署が関与。決裁書は関係の各部署から上層部に上がる仕組みになっていた。特に対韓工作の部署が動く際には、何らかの事故が起きれば外交問題となる可能性があり、北朝鮮はそのリスクを計算に入れて行動していたため、朝鮮人民軍も同時に作戦行動にかかる。
また、全ての軍の作戦行動や訓練は金正日総書記の決裁を取ることになっており、「金総書記が知らないことは絶対にあり得ない」(元工作員)と強調している。
北朝鮮では金日成(キム・イルソン)主席が実権を握っていた当時、潜水艦の対南浸透工作に失敗、発覚して北朝鮮に逃げ帰るという事案が発生。その“事故”の教訓から、工作の際には作戦部内に「総合状況室」を開設して通信と情報を集中管理、問題発生時には軍の即時支援が可能な態勢に改めたという。


■中国、工作母船の停泊黙認

日・米・韓の情報当局は、中国・上海の港湾内に北朝鮮の工作基地があり、中国政府が黙認する形で、結果的に北朝鮮の対外工作を支援していたと見ていた。
だが、証言によると、上海の海岸部に北朝鮮の基地はなく、港湾内に商船を停泊させ、食料や人員、資材等の補給に利用していたという。
工作船が韓国や日本に向かう際には、北朝鮮南浦などの出動拠点から出た工作船がいったん上海で商船に接触。追跡された場合にも、停泊船舶に逃げ込むことになっていた」
工作員は、

中国共産党も中国軍もすべて承知の上だった」

と指摘している。



拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。