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【みんな生きている】中・朝関係編

《中・朝両国の間に吹く微妙な「隙間風」》

『労働新聞』や朝鮮中央通信等、北朝鮮のあらゆる官営メディアは9月1日から中国の人名・地名を朝鮮語読みで表記し始めた。胡錦濤・中国国家主席の名前は8月31日までは現地の発音通り「フー・チンタオ」と表記されていたが、9月1日からは「ホ・グムド」という表記になっている。
ほかにも温家宝・中国首相は「ウェン・チアパオ」→「オン・ガボ」、吉林省は「ジーリンセン」→「キルリムソン」等、中国の全ての人名・地名表記が変更されている。
もともと北朝鮮は外国の人名・地名表記に「現地語読み重視」の原則を厳格に適用してきた。メキシコを「メヒコ」、ロシアを「ロッシヤ」と表記する。ただ、中国語についてだけは数十年間、朝鮮語式の漢字の読み方を続けていたが、昨年8月1日から突然、現地語読みに基づく表記を始めた。
韓国外交消息筋は

「中国側から強い要請があった上、北朝鮮側も2010年の金正日キム・ジョンイル)総書記訪中以降、急速に緊密になった中国との関係を考慮して対応したと聞いている」

と話す。
ところが、北朝鮮はそれから1年1ヶ月で再び朝鮮語読み表記に戻した。
これについて、ある外交消息筋は

「一時“中・朝蜜月関係の象徴”とされていた現地語読み表記をやめたのは、北朝鮮が中国に強い不満を示そうとしているからとも考えられる。平壌にある中国大使館は先週、この件を本国に緊急報告し、経緯把握に乗り出したと聞いた。事態を深刻に受け止めているということだ」

と語った。
また、ある脱北者

北朝鮮では原則的に最高指導者の署名なしに外国語の表記を勝手に変えることは出来ない。一度変更したら、しばらくの間は元に戻すのが難しい。今回の北朝鮮の措置は“私は気分を害している”と中国にアピールしているもの」

と分析している。
韓国国家安保戦略研究所のパク・ピョングァン研究員は

「1年1ヶ月で中国の人名・地名表記原則が元に戻ったのは北朝鮮の中国に対する不快感の表れ。8月に張成沢チャン・ソンテク)国防委員会副委員長が訪中したが、その成果が期待ほどでなかったことに対する不満を表している可能性がある」

と指摘した。
張成沢氏は北朝鮮の経済開発の元手資金として中国に10億ドル(約780億円)の借款を要請したが断られたといわれている。
また、黄金坪と羅先という二つの特別経済特区について、中央政府レベルの積極的な投資を求めたが、返ってきたのは「企業側が判断して進めること」という言葉だけだった。その上、張成沢氏は温家宝首相から「5項目の訓戒」を聞かされ、それが新華社通信を通じそのまま報道された。
韓国外交消息筋は

「次期首相が確実視されている李克強副首相は、北朝鮮関係者と接触するたびに温首相より痛烈で露骨な注文をする」

という。
9月5日には中・朝経済協力を総指揮する北朝鮮の合弁投資委員会が、中国企業を激しく非難する「スポークスマン談話」を発表した。
これは、中国500大企業の一つで鉱山・鉄鋼生産大手の西洋集団(シーヤン・グループ)が先月「北朝鮮投資の悪夢」という文で「北朝鮮で4年間、さまざまな苦労を重ねたのに430億ウォン(約30億円)を無駄にして追い出された」と主張したことに対する反論だ。これも北朝鮮指導部が穏やかでない心中を表に出したものだといわれている。
韓国政府当局者は

北朝鮮の表記法変更が本当に中国に対する不満の表れなのか、もしそうだとしても張成沢氏に対する中国の冷遇が原因なのかはまだ把握出来ていない。表面的には中・朝交流は大きな支障もなく進められている」と語った。

※「北朝鮮に30億円も投資したのに契約を一方的に破棄され、金も返してもらえない」
中国企業がこのように訴え、波紋が広がっています。
この企業がJNNのインタビューに応じ、怒りを露わにしました。

「これは金正日キム・ジョンイル)総書記から社長に贈られたものです」
(西洋集団・呉希勝副社長)

応接室に飾られた記念品の写真。
「投資の見返りは、この箸とスプーンだけだった」と、副社長は嘆きます。
鉱物生産で世界的な規模を誇る中国企業・西洋集団。マグネシウムの採掘を目的に2006年から北朝鮮へ投資を始めました。
しかし、ある日、北朝鮮側からこう告げられます。
「資源に対する税率を引き上げる」

西洋集団が「それでは利益が見込めない」と撤退を申し入れると、北朝鮮側は一転、「やはり税率は上げない」と回答。

「これは北朝鮮の投資協会の書類で、『税率は30年間変わらない』と書いてあります」
(西洋集団・呉希勝副社長)

その後、税率を上げないことを最高人民会議が保証した文書に加え、故・金総書記からの贈り物まで届けられたことから、西洋集団は事業を再開しました。
ところが、「いよいよ生産開始」という段階で再びトラブルが発生したのです。

「今まで無料としていた土地の使用料なども払え」
資源開発に多額の投資をした中国企業・西洋集団に対し、このような通達をした北朝鮮。拒否すると、北朝鮮側は契約を一方的に破棄し、去年11月、西洋集団に強制退去を命じました。
投資総額はおよそ30億円。西洋集団は返すよう要求していますが、返答は無いということです。

「あの国は国家ぐるみで詐欺をやっているとしか思えません」(西洋集団・呉希勝副社長)

「経済再建」を至上命題とする北朝鮮。しかし、専門家は「そのためには外資を呼び込むための国内法の整備が必要」と指摘します。

北朝鮮の法律による担保がないままでは、いくら中国政府が支援しても、中国企業は投資をためらうでしょう」
北京大学・金景一教授)

この件について北朝鮮側は国営メディアを通じ、「責任は期限内に出資する約束を守らなかった西洋集団側にある」と異例の反論をしています。