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【みんな生きている】藤本健二編

北朝鮮で2001年まで金正日キム・ジョンイル)総書記の専属料理人を務め、7月に11年ぶりに訪れた北朝鮮で後継者の金正恩キム・ジョンウン)第1書記と面会した日本人男性がNHKのインタビューに応じ、横田めぐみさんの名前を出して拉致問題解決や日・朝関係の改善を求めるメッセージを伝えたことを明らかにしました。
2001年までの13年間、北朝鮮で金総書記の専属料理人を務めた藤本健二氏は、当時、交流があった後継者の金第1書記の招きで、先月、11年ぶりに北朝鮮を訪問して金第1書記と面会しました。
藤本氏はこのほどNHKのインタビューに応じ、面会での詳しいやりとりを明らかにしました。
それによりますと、面会は平壌で行われた歓迎会で実現し、歓迎会には金第1書記と夫人、それに、第1書記の後見役とされる張成沢チャン・ソンテク)氏をはじめ、思想統制や体制の宣伝を担当する「宣伝扇動部」の幹部や、金総書記の4人目の夫人とされる金玉(キム・オク氏)たち17人が出席したということです。
この中で金第1書記は、突然北朝鮮を去った藤本氏に対し「裏切り行為があったが、全て忘れ去った」と言葉をかけたということです。
そして会場では、藤本氏があらかじめ用意していた、拉致問題の解決や日朝関係の改善を求めるメッセージ文が通訳によって読み上げられたということです。
このとき、藤本氏自身も
「『父親の時代の話なので知らない』では国際社会の仲間入りは出来ません。今こそ横田めぐみさんたちの調査をしていただきたい」
等と直接呼びかけたということです。
こうした発言を止めようとした出席者はおらず、金第1書記も黙ってうなずいていたということです。
また、金第1書記は藤本氏に「いつ北朝鮮に来ても歓迎する」と述べ、今後、日本と北朝鮮を自由に行き来してよいとする考えを示したということです。
藤本氏は
「日本と北朝鮮の懸け橋になりたい」
としており、9月にも再び北朝鮮を訪問することにしています。


北朝鮮訪問の経緯

藤本氏は今年6月、自宅近くのコンビニエンスストアで男性から声をかけられ、「北朝鮮を訪問しないか」と誘われたということです。
男性は北朝鮮の関係者と見られ、藤本氏に「北朝鮮に残してきた家族やとても偉い人が会いたがっている」と告げ、最近の家族の写真と手紙を見せたということです。また、藤本氏の北朝鮮での身の安全を保障する国防委員会発行の書類も示されたということです。
藤本氏は当初、この話を信用出来ませんでしたが、1か月後の7月18日、この男性から「金第1書記が『2001年の約束を果たそう』とおっしゃっている」と伝えられたということです。
藤本氏は2001年、「日本へマグロ等の買い付けに行く」と言ってそのまま北朝鮮を去りましたが、その際、金第1書記から「必ず帰って来い」と言われたことを思い出し、今回の招待を受けることにしたとしています。
藤本氏は7月20日に日本を出国し、北京で北朝鮮の秘書室の人間の出迎えを受けたあと、翌日、北朝鮮に入りました。


■異例の待遇

藤本氏は今回の訪問にあたり、北朝鮮の国防委員会が発行した身の安全を保障する書類を渡されていた他、「夜は危険だから」として兵士が24時間警備する施設を宿泊先として提供されたということです。
歓迎会でも藤本氏の席は北朝鮮で「最高の歓迎」を示す金第1書記の正面に用意され、左隣には第1書記の後見役を担っているとされる張成沢行政部長が座りました。
また、藤本氏は北朝鮮に再婚した妻と子どもを残していましたが、今回の訪問が決まると、家族には平壌中心部の高級マンションが新居として用意されたということです。
1度は北朝鮮を去った藤本氏を北朝鮮が異例とも言える待遇で迎えたのは、体制の変化をアピールする狙いがあるのではないかと見られています。


■出席者と北朝鮮の狙い

藤本氏の歓迎会には、金第1書記の夫人や妹だけでなく、後見役とされる張行政部長や宣伝を担当する部署の幹部たちも出席していました。
このうち、張成沢行政部長は、金第1書記の叔父で、視察に最も頻繁に同行する等、後見役を担っていると見られ、8月17日には北京で中国の胡錦涛国家主席たちと「準首脳会談」をしました。
金第1書記とともに張行政部長が同席したことで、北朝鮮指導部が藤本氏の訪問を重要視していることが見てとれます。
また、思想統制や体制の宣伝を担当し、北朝鮮で最も重要な部署の1つとされる「宣伝扇動部」の幹部も出席しており、今回の面会を金第1書記のイメージアップにつなげる狙いもうかがえます。
この他、長年にわたって金総書記の秘密資金を管理してきたと言われる人物や、金総書記の4人目の夫人とされる金玉氏も同席していました。
政府は宣伝と資金管理を担当する人物が出席していたことに注目するとともに、北朝鮮が藤本氏を招いた意図や背景を分析しています。


■政府も注視

藤本氏が金第1書記と面会したことについて、松原 仁拉致問題担当大臣は、8月24日に行われた報道各社のインタビューの中で
「一般論として北朝鮮側に日本側の意思を伝えるあらゆるチャンスを生かしていきたい」
としたうえで、
北朝鮮の最高指導者の前で具体的に横田めぐみさんの名前を出し、拉致問題を提起したというのは極めて重いと思っている」
と述べ、今後の動きを注視していく考えを示しました。



※「日本国内にいる親北の連中に言っておくことがある。それは、拉致被害者に何かがあったら、我々は『報復するぞ』と」
(荒木和博・特定失踪者問題調査会代表)
※「北朝鮮の国家安全保衛部に日本人拉致被害者が約10人、朝鮮労働党の工作機関に日本人拉致被害者が約30人管理されている。このうち、保衛部に管理されている日本人拉致被害者2名については朝鮮名が『カン・クンナム』と『リ・チョルヨン』であることはわかっている。そして管理されている拉致被害者が資料の翻訳等の仕事をさせられていることもわかっている」
(西岡 力・救う会会長)
拉致事件、捜査の現状】
北朝鮮による拉致事件を巡り、日本の警察はこれまで実行犯や指示役として北朝鮮の元工作員たち合わせて11人を国際手配しています。
拉致には金正日キム・ジョンイル)総書記が掌握していた対外情報調査部と呼ばれる工作機関が組織的に関わっていた疑いが強いと見て捜査を続けています。
このうち、福井県の地村保志さん・富貴恵さん夫妻を拉致した実行犯として元工作員辛光洙シン・グァンス)容疑者が手配されています。
また、大阪府の原 敕晁さんが拉致された事件では、辛容疑者とともに金吉旭(キム・キルウク)容疑者も共犯者として手配されています。
この他、東京都の久米 裕さん拉致事件では金世鎬(キム・セホ)容疑者が、新潟県曽我ひとみさん拉致事件にはキム・ミョンスク容疑者がそれぞれ関わったとして手配されています。
北海道出身の渡辺秀子さんの子供2人の拉致事件では、工作員グループのリーダー格で北朝鮮にいると見られる洪寿恵(ホン・スヘ)こと木下陽子容疑者が手配されています。
新潟県の蓮池 薫さん・祐木子さん夫妻の拉致事件ではチェ・スンチョル容疑者が実行犯として手配されている他、金総書記が掌握していた対外報調査部と呼ばれる北朝鮮の工作機関の幹部であるハン・クムニョン容疑者とキム・ナンジン容疑者が拉致の実行を指示したとして手配されています。
ハン容疑者たちは工作機関で「指導員」と呼ばれる立場で、辛光洙容疑者たちもこの組織の一員だったことがわかっており、警察は北朝鮮が組織的に拉致を実行した疑いが強いと見て捜査を続けています。
よど号ハイジャック事件のメンバーたちも1980年代にヨーロッパで相次いだ3人の日本人拉致に関わった疑いで国際手配されています。
このうち、有本恵子さん拉致事件では魚本公博(安部公博)容疑者が、石岡 亨さんと松木 薫さん拉致事件ではよど号メンバーの妻の森 順子・若林佐喜子両容疑者がそれぞれ手配されています。