【みんな生きている】張成沢訪中分析編
《張成沢行政部長の訪中を分析》
北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）朝鮮労働党行政部長（国防委員会副委員長）が８月１３日から開始した訪中は、内外の大きな注目を集めている。訪問団の総勢は約５０人に達し、前例がない規模だ。過去に北朝鮮では金日成（キム・イルソン）主席や金正日（キム・ジョンイル）総書記の中国・ロシア訪問を除き、金ファミリー以外の人物がこれだけの訪問団を率いて外国を訪問した例はない。
北朝鮮専門家は
「事実上の準首脳外交と見なすべきだ」
と指摘した。
■存在感を誇示する張成沢氏
張成沢氏は金正恩（キム・ジョンウン）党第１書記の叔父に当たり、内閣の実力者として知られる。金正日総書記の妹・金敬姫（キム・ギョンヒ）朝鮮労働党軽工業部長の夫に当たる張成沢氏は２８歳の若さの金正恩氏を支える柱とされる。
北朝鮮専門家は
「現在の北朝鮮は金正恩の国ではなく、『張成沢の国』に近い」
との見方を示した。
そんな張成沢氏がまるで勢力を誇示するかのように大規模な代表団を率い、中国を訪問したのだ。
幹部出身の脱北者は
「張成沢氏は中国とも独自の人脈があると聞いている」
と述べた。
過去に張成沢氏は生前の金総書記の命令を受け、限られた任務で中国を訪問することはあった。しかし、金総書記のメッセージを伝えるため、随行員１～２人を連れて密かに訪問したり、中・朝国境の黄金坪開発など代表的な中・朝経済協力事業関連の行事で、金総書記の代理としてテープカットを行ったりする程度だった。
■中国各地を訪問する可能性
張成沢氏は今回、中・朝外交の実務責任者である金永日（キム・ヨンイル）朝鮮労働党国際部長や北朝鮮の対外貿易・投資を統括する李光根（リ・グァングン）合営投資委員長たちを同行させたとされる。
また、張成沢氏は北京だけでなく、中国の改革開放政策が最初に始まった南部や中・朝経済協力事業の現場である東北３省を訪問する可能性もある。この場合、張成沢氏の訪問は単なる経済視察団のレベルを超えるという観測が支配的だ。金総書記は２００１年１月に上海を訪問し、２０１０年には中国東北部を回った。
張成沢氏は最近、自身を脅かす可能性がある軍部の実力者の李英鎬（リ・ヨンホ）総参謀長を失脚させる等、反対勢力の粛清を成し遂げた。権力層内部の整理を終えた張成沢氏にとっては、経済難を改善するため中国の支援が必要な状況であり、今回の訪中もそうした目的があるのではないかと見られている。現在北朝鮮は「６．２８措置」と呼ばれる経済改革に着手したばかりだ。
梨花女子大のチョ・ドンホ教授は
「金日成主席は思想強国（主体思想）、金正日総書記は軍事強国（先軍政治）で住民の支持を得た。金正恩氏は『経済強国』を掲げるしかないが、張成沢氏が中国との『経済外交』の責任者となった格好だ」
と分析した。
■中国指導部と会談か
一方、張成沢氏を巡っては、今回の訪中で胡錦濤国家主席や温家宝首相たち中国の指導部と会い、金第１書記からのメッセージを伝えるのではないかとの見方がある。この他、張成沢氏が中国の次期国家主席への就任が確実な習近平氏、次期首相に有力な李克強氏と会うとの観測もある。外交経験がほとんどない金第１書記が国内外の情勢が複雑な時期に老練の中国指導部と対するには力不足のため、張成沢氏が代役を務めているとの分析もある。張成沢氏の訪中を単純に黄金坪や羅先開発等、中・朝経済協力事業の活性化が目的だとは言えない状況だ。
中・朝首脳会談は、議題があらかじめ調整されている通常の首脳会談とは性格が異なる。
北朝鮮に詳しい消息筋は
「中・朝首脳会談では、指導部の経験と能力が最も大切だ。中国指導部は過去１０年間、瀬戸際戦術に優れた金正日総書記を相手にするのに苦労したと聞いている」
と述べた。張成沢氏は金第１書記が正式に外交舞台にデビューするのに先立って北京を訪問した可能性もあるが、代表団の規模や格等から見て、張氏が事実上の首脳外交を行なっているのではないかという分析が聞かれる。
※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
（脱北者Ａさん。脱北者手記集より）
北朝鮮の張成沢（チャン・ソンテク）朝鮮労働党行政部長（国防委員会副委員長）が８月１３日から開始した訪中は、内外の大きな注目を集めている。訪問団の総勢は約５０人に達し、前例がない規模だ。過去に北朝鮮では金日成（キム・イルソン）主席や金正日（キム・ジョンイル）総書記の中国・ロシア訪問を除き、金ファミリー以外の人物がこれだけの訪問団を率いて外国を訪問した例はない。
北朝鮮専門家は
「事実上の準首脳外交と見なすべきだ」
と指摘した。
■存在感を誇示する張成沢氏
張成沢氏は金正恩（キム・ジョンウン）党第１書記の叔父に当たり、内閣の実力者として知られる。金正日総書記の妹・金敬姫（キム・ギョンヒ）朝鮮労働党軽工業部長の夫に当たる張成沢氏は２８歳の若さの金正恩氏を支える柱とされる。
北朝鮮専門家は
「現在の北朝鮮は金正恩の国ではなく、『張成沢の国』に近い」
との見方を示した。
そんな張成沢氏がまるで勢力を誇示するかのように大規模な代表団を率い、中国を訪問したのだ。
幹部出身の脱北者は
「張成沢氏は中国とも独自の人脈があると聞いている」
と述べた。
過去に張成沢氏は生前の金総書記の命令を受け、限られた任務で中国を訪問することはあった。しかし、金総書記のメッセージを伝えるため、随行員１～２人を連れて密かに訪問したり、中・朝国境の黄金坪開発など代表的な中・朝経済協力事業関連の行事で、金総書記の代理としてテープカットを行ったりする程度だった。
■中国各地を訪問する可能性
張成沢氏は今回、中・朝外交の実務責任者である金永日（キム・ヨンイル）朝鮮労働党国際部長や北朝鮮の対外貿易・投資を統括する李光根（リ・グァングン）合営投資委員長たちを同行させたとされる。
また、張成沢氏は北京だけでなく、中国の改革開放政策が最初に始まった南部や中・朝経済協力事業の現場である東北３省を訪問する可能性もある。この場合、張成沢氏の訪問は単なる経済視察団のレベルを超えるという観測が支配的だ。金総書記は２００１年１月に上海を訪問し、２０１０年には中国東北部を回った。
張成沢氏は最近、自身を脅かす可能性がある軍部の実力者の李英鎬（リ・ヨンホ）総参謀長を失脚させる等、反対勢力の粛清を成し遂げた。権力層内部の整理を終えた張成沢氏にとっては、経済難を改善するため中国の支援が必要な状況であり、今回の訪中もそうした目的があるのではないかと見られている。現在北朝鮮は「６．２８措置」と呼ばれる経済改革に着手したばかりだ。
梨花女子大のチョ・ドンホ教授は
「金日成主席は思想強国（主体思想）、金正日総書記は軍事強国（先軍政治）で住民の支持を得た。金正恩氏は『経済強国』を掲げるしかないが、張成沢氏が中国との『経済外交』の責任者となった格好だ」
と分析した。
■中国指導部と会談か
一方、張成沢氏を巡っては、今回の訪中で胡錦濤国家主席や温家宝首相たち中国の指導部と会い、金第１書記からのメッセージを伝えるのではないかとの見方がある。この他、張成沢氏が中国の次期国家主席への就任が確実な習近平氏、次期首相に有力な李克強氏と会うとの観測もある。外交経験がほとんどない金第１書記が国内外の情勢が複雑な時期に老練の中国指導部と対するには力不足のため、張成沢氏が代役を務めているとの分析もある。張成沢氏の訪中を単純に黄金坪や羅先開発等、中・朝経済協力事業の活性化が目的だとは言えない状況だ。
中・朝首脳会談は、議題があらかじめ調整されている通常の首脳会談とは性格が異なる。
北朝鮮に詳しい消息筋は
「中・朝首脳会談では、指導部の経験と能力が最も大切だ。中国指導部は過去１０年間、瀬戸際戦術に優れた金正日総書記を相手にするのに苦労したと聞いている」
と述べた。張成沢氏は金第１書記が正式に外交舞台にデビューするのに先立って北京を訪問した可能性もあるが、代表団の規模や格等から見て、張氏が事実上の首脳外交を行なっているのではないかという分析が聞かれる。
※「親北勢力は胸に手を当てて考えて欲しい。もし、あなたの子供たちが食べ物に飢えて栄養失調になり、骨だけの痩せ細った体で勉強を諦め、市場のゴミ捨て場を漁っていたら、どんな気持ちになるだろうか。そうせざるを得ない社会に憧れを持つことなど出来るだろうか」
（脱北者Ａさん。脱北者手記集より）
