もずの独り言・はてなスポーツ+物置

半蔵ともず、はてなでも独り言です。

奈穂子様/松平信綱

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水戸のジイサン、最近料理にのめり込んでてな。

家臣たちに自慢の手料理を振る舞うようになった。

で、こないだオレと弥七もうどんを食わせてもらった。味は良かったんだが、やけに黄色いうどんだったからオレも弥七も不思議だったんだがな。

水戸のジイサンは新座の平林寺に出かけたぜ。

弥七もお供について行った。

何でまた平林寺に?って弥七に聴いたら「伊豆守様の臨終のことで、御老公さまが気になることがあるから」って言ってたな。

伊豆の旦那(松平信綱)には島原の乱のあと、家光公から感状(感謝状)が贈られた。

水戸のジイサンはな、この感状のことを調べたくて平林寺に行ったのよ。

実はな奈穂子サン、感状は焼けて灰になっちまってもうこの世には存在しねえんだ。これは伊豆の旦那の遺言でな。本当のところは何が書かれてたのか?そいつを水戸のジイサンは調べるんだって弥七は言ってた。

「感状は灰にして我が遺体に振りかけよ」伊豆の旦那はこう言って息を引き取った。読まれちゃ困るから「灰にしろ」って言ったんだろうけどな。

遺言は忠実に実行された。だから誰も感状の中身はわからねえ。水戸のジイサンは「平林寺の伊豆の旦那の墓に行けば何かわかるかも知れねえ」って、それで平林寺に行った。

感状にはたぶん「このたびの働き見事であった」って書いてあったんだろうってオレは見ている。だから焼いて灰にしたんだってな。

島原では何万人も一揆軍が死んだ。奈穂子サンの時代でいう「大量虐殺」ってえヤツだ。家光公の感状をそのまんま残しとくと、あとで誤解されかねねえ。「一揆軍の皆殺しは家光公の御指図だ」ってな。それじゃ幕府にとっても将軍家にとっても後々障りになる。伊豆の旦那はそう思って感状を灰にしたのよ。

しかしまあ、「遺体に振りかけよ」ってえトコが伊豆の旦那らしいわな。伊豆の旦那はもともと大河内金兵衛ってお旗本のセガレでな。親父の金兵衛が「こいつは出来がいいから出世させてやりてえ」って言って松平家に養子に出したのよ。

それで家光公の眼に止まって首席老中にまでおなりなすった。伊豆の旦那はもともとおつむの切れ味が良かったんだが、自分で努力することも忘れなかった。その努力は自分を見出してくれた家光公のための努力だ。立派なモンだぜ。

黄色いうどんもマズくはねえんだが、オレァやっぱり蕎麦だな。

黄色いうどんは奈穂子サンの時代の「らあめん」の原型だ。

奈穂子サン、また。