もずの独り言・はてなスポーツ+物置

半蔵ともず、はてなでも独り言です。

奈穂子様/田沼意次

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日向からな、金柑が届いた。こいつは何と言っても皮ごと食えるのがいいやな。

「賄賂の流儀」

はははは。

奈穂子サンがキョトンとするのも無理無えや。

でもよ奈穂子サン、今日話する田沼のオッサンはこの「賄賂の流儀」を守ったんだぜ。

「賄賂に流儀なんて、あるの?」

ま、奈穂子サンがそう言うのもわかるわな。

でもよ、「あるんだ」ってよ。え?誰が言ったのって?「あるんだ」って言ったお方は二人いる。

一人は大岡出雲守忠光様。家重公の御側用人だ。もう一人は松平右近将監武元様。武元様についちゃあ以前「べごにあ」のトコで奈穂子サンに話をしたはずだぜ。

で、この二人が言うにはな「もらいっぱなしはいけねえ。事がしくじったら受け取ったモンは返すのが流儀だ」ってことなんだ。まあ確かに奈穂子サンの時代の「きょうかしょ」とかいう書物には田沼のオッサンは「賄賂をもらった悪い人」ってえ出て来るから、奈穂子サンが田沼のオッサンを悪人として見る気持ちもわかるんだ。

だがな、田沼のオッサンはこの二人から教わった「流儀」を守った。あいつ、名前何て言ったっけっかな…確か、小宮山ナントカって言ってたな。水戸藩に小宮山ナントカってえのがいて、こいつが藩の用事で江戸に出て来たときに小石川(水戸藩邸)で田沼のオッサンの噂を耳にして帳面に書き留めた。奈穂子サンの時代でいう「めもがき」ってえヤツだ。

で、「めもがき」には「田沼主殿頭、邸宅に賄賂が山積み」って書いてあった。その「めもがき」をもとに奈穂子サンの時代の「きょうかしょ」が書かれた。

でもよ奈穂子サン、「山積み」なんておかしいと思わねえかい?だってよ、銭もらったら酒にオンナに料理に使うし、菓子折りもらったら食っちまうだろ?

「山積み」ってえのはな、便宜を図って、万が一しくじったときに先方に「すまねえ。ダメだった」って返すために手ェ付けずに「山積み」にしといたのよ。まあな、賄賂にだって「流儀」がありゃあそりゃあそれで一つの筋よ。

田沼のオッサンを追い落とした越中守様(松平定信)だって賄賂をたんまりともらってた。そのくせ、田沼のオッサンを追い込むときに使った理由が「賄賂で私服を肥やした」ってえんだから身勝手なモンだぜ。そう思わねえかい、奈穂子サン?

田沼のオッサンはダメなときゃちゃんと賄賂を相手に返した。でも越中守様はもらったまんまだった。

奈穂子サン、越中守様に言ってやってくんな。

「どっちもどっち」ってな。

金柑は皮もタネも食える。皮ァ剥く手間が無えから、奈穂子サンにもオススメだぜ。

奈穂子サン、また。