2019-01-01から1年間の記事一覧
こんなに冷える日はしじみの味噌汁よ。 こいつは二日酔いにもいいんだぜ。 昨日越中守様(松平定信)の話をしたからな、今日はちょいとその越中守様の話をするぜ。 奈穂子サンにはちょいと理解しづれえ話かも知れねえんだがな、オレたちの時代の銭湯は混浴だ…
日向からな、金柑が届いた。こいつは何と言っても皮ごと食えるのがいいやな。 「賄賂の流儀」 はははは。 奈穂子サンがキョトンとするのも無理無えや。 でもよ奈穂子サン、今日話する田沼のオッサンはこの「賄賂の流儀」を守ったんだぜ。 「賄賂に流儀なんて…
北陸からな、ぶりが届いた。 こいつは何といっても刺身だ。ぶりはな、寒けりゃ寒いほど脂が乗るのよ。 白井みよ。 みよはどんな字書くかは知らねえ。 綺麗なお嬢さんだった。 もとは疋田みよって名乗ってた。親父は甲府の藩士だったんだがな、みよが4つの頃…
ほうれん草の胡麻和えに小松菜の煮浸し。 おせちは3ヶ日のお楽しみよ。だから今は手ェ付けねえ。 胡麻和えも煮浸しも冷や酒に合うんだぜ。 松平兵部大輔斉宣様。 こんなトンチキのバカ殿に「様」なんて付けたかァねえんだがな、何せ家斉公の御実子だ。バカ…
かつおをな、しょうが醤油でじっくり煮るのよ。 メシのおかずに良し。 酒のつまみに良し。 土佐だけじゃねえぜ。江戸でもかつおは食ったんだ。 江戸でかつおは勝つ魚(かつうお)って呼ばれて縁起モノだったんだ。 どっかの相撲取りが魚屋でかつおを値切った…
今日は板わさに熱燗よ。大根が続いたからな。 奈穂子サンの時代のかまぼこはお手軽な食い物なんだろうが、オレたちの時代のかまぼこはお御馳走よ。 奈穂子サン、毛利小平太ってえ旦那のこと、知ってるかい? 本来、赤穂浪士はこの小平太の旦那を入れて「四十…
豆腐をな、真ん中をくり抜いて、中に納豆とからしを入れてな。 そんで上からしょうゆをドバーッとかけるんだ。 こいつがまた酒に合うのよ。 ああそうだ。 こないだの話の続きをしなきゃな。 越前中納言松平秀康様。 権現様の次男坊だ。 権現様の長男は岡崎三…
今日は弥七とれんこんの天麩羅を食ってるところだ。塩つけてな。 池田石見守輝澄様。 播磨宰相様(池田輝政)と督姫様の間に生まれたお殿様でな。だから権現様の外孫にあたる。 督姫様の御子ということで松平姓を与えられて従四位下侍従にまで昇進しなすった…
暖けえ日が続くなァ、オイ。 こんなにポカポカしてるとついウトウトしちまっていけねえな。 で、今日は弥七のヤツが季節はずれのぶり大根なんか持って来やがった。旬から逸れたモン食ってると水戸のジイサンに説教されちまうぜ。 このぶりを腹いっぱい食いて…
春は鰆だァな。 魚に春で「さわら」だなんて、漢字ってえのは面白えもんだな。 鰆に味噌塗ってな、そんでジュウ~っと焼くのよ。つまみによし、おかずによしだ。 大岡越前守忠相様。 吉宗公を生涯支え続けた忠臣よ。 吉宗公が越前守様を知ったのは越前守様が…
かあーっ!うめえっ!! 菜の花を天麩羅になんざ、さすがは水戸のジイサンだぜ! 菜の花はからし和えだとばっかり思ってたからな。こいつは一本取られたぜ。 本能寺、ですかい? 奈穂子サン、意地悪言っちゃいけねえや。 オレァお江戸の話はするが、下剋上の…
弥七が正月早々おいなりさんなんて持って来やがるから一口食ったら中身がおからだった。 水戸のジイサン、いたずらっ子だからな。 佐竹右京大夫義堯様。 出羽久保田(秋田)20万5800石の国持お大名だ。 奈穂子サンの時代は離縁したヤツのことを「バツ…
生姜に味噌付けて齧る。 まあ、こいつはつまみなんだがな。 ねぎを焼いて味噌付けて齧る。 こいつもつまみだ。 味噌ってえのは、便利なヤツだな。 春日山城? あれァな、奈穂子サンが生まれるずっと昔のそのまた昔に破却にされたお城ですぜ? 春日山城って言…
いわしにおからをまぶして食べる。 こいつァ酒にもメシにも合うのよ。 堀田備中守正俊様。 綱吉公を五代様にした一番の功労者だ。 綱吉公は、そりゃあ堀田様に感謝した。何せ初めは将軍の目なんて無かったんだからな。 家綱公が薨去される際、雅楽頭様(酒井…
あなごを開いてな、みりんのたっぷり入ったしょうゆをドバーッとかけてな、そんでそれを蒲焼きにするのよ。 こいつがまた酒に合うのなんのって。 ちょうど今日みてえなクソ暑い日だったな、銭五のオッサンが加賀藩のヤクニンにしょっ引かれたのはな。 銭屋五…
※今回取り上げる津軽政兜は本来「兜」の文字には違う文字が入るのですが、携帯電話では表示・変換が不可能なため似ている文字の「兜」を当て字しています。 若狭や近江じゃ鯖そうめんなんてのがある。 こいつを小石川(水戸藩邸)で食ったんだがな、オレも弥…
夏至に南瓜食うのは、奈穂子サンの時代の話だろう? あれァな、秀忠公の御代に御大老(土井利勝)がルソンから仕入れたんだがな、どうやって食ったらいいかわからねえ。 で、御大老は南瓜を生のまんま齧った。そんで御大老は「苦いばっかであまりおいしくな…
夏ァやっぱりそうめんだァな。 薬味は紫蘇と茗荷だ。 こいつをズルズルッとやって涼しくなるのよ。 「そいつはならねえ平賀先生」 オレァそう言って先生を止めたんだがな。 先生があの騒ぎをしでかす前の晩のこった。オレの長屋に先生が来た。 平賀先生はあ…
弥七のヤツが小石川のお屋敷(水戸藩邸)から葛餅を持って来たから、こいつを井戸で冷やしてな。 きな粉をたっぷりまぶして、その上に黒蜜をたっぷりとかける。 ま、水戸様は御三家だからな。諸大名からの贈り物もいろんなモンをもらうのよ。 丹羽左京大夫長…
今日は赤飯だ。 いつの頃からか、こいつに胡麻塩かけて食うようになった。この胡麻塩が赤飯にまた合うのよ。 いったい誰が思いついたんだろうな。 こないだ三田の仙台藩邸にお呼ばれしてな。そこでたらふくメシ食ってガブガブ飲んだ。62万石だからな、ケチ…
麩と長ねぎをしょうゆで煮込む。簡単なつまみだ。一人で飲むのに手の込んだつまみはいらねえからな。 福島左衛門大夫正則様。酒グセの悪いお方でな。 その酒グセの悪さに愛想尽かした安房守様(本多政重)は「こいつは勘弁してくれ」って暇乞い(退職)した…
うどの酢味噌和え。 こいつはうどのさっぱり感と酢味噌の味の相性がいいのよ。 「榊原家は謀反のことが無い限り取り潰さない」 奈穂子サン、秀忠公はこんなお墨付きを榊原家に与えたんだ。 お墨付きをもらったのは榊原式部大輔康政様。上野館林10万石の大…
弥七のヤツ、今日は牡蛎を持って来た。こいつは春菊と一緒に味噌で煮るとウマいんだ。 福島左衛門大夫正則様。 安芸広島49万8千石の大大名だ。 左衛門大夫様は「豊臣恩顧」でな。幕府では当然外様として扱われた。 左衛門大夫様は関ヶ原のあとの「伊奈図…
こう暑い日が続くと、心太がやめらんねえな。 さっきから弥七と食い続けててな、もう何杯食ったか忘れちまったよ。 大岡出雲守忠光様。 家重公の側用人でさあ。 家重公は奈穂子サンも知っての通り、言葉がちょいとアレでな。奈穂子サンの時代で言う「言語障…
こうも暑い日が続くと、やっぱそうめんだわな。 で、今日は弥七と二人してそうめんズルズルっと食ってるのよ。 お江の方、ですかい?奈穂子サン? そいつァいけねえや。 あんまし迂闊にあの人のこと喋ったら奉行所にしょっ引かれちまうぜ。 ま、同じ「歳上女…
弥七のヤツ、今日は茄子と茗荷の味噌汁に味噌塗った焼きおにぎり、それに鰆の味噌焼きって… 何だオイ、今日は味噌だらけじゃねえか。 秀忠公と越中守様(細川忠興)。 ま、似た者同士だァな。 秀忠公は徳川家の二代目。越中守様は細川家の二代目だ。 二代目…
今日はな、弥七と泥鰌鍋にあさりの酒蒸しで一杯やってるんだがな。そうそう、それから田螺の佃煮もあるんだ。 今日は酒が止まらねえな。 鷹司信子様。 綱吉公の御台所でさあ。 ま、綱吉公の女癖の悪さにいろいろと泣かされなすった。 綱吉公の女癖の悪さは、…
弥七め、きつねうどんにいなり寿司なんて、油揚げだらけじゃねえか。 水戸のジイサンが館林城を見に行くってんで付いて行ったらこれだ。 館林の城下にゃお稲荷さんがあるが、だからってこんなに油揚げだらけにするこたァ無えだろう… 松平右近将監清武様。 家…
牛肉を砂糖としょうゆで甘しょっぱく煮て卵黄につけて食べる。 弥七が言うには「すきやき」って名前の料理でな。まあ牛肉は彦根藩の周辺の土地、例えば都やその周りの西のほうの人たちしか食わねえからな。 オレはこの「すきやき」が好きなんだがな。 本多越…
今日はな、かつおと長ねぎをしょうゆで煮込んでな。こいつで今、弥七と一杯やってるのよ。 金森兵部少輔頼錦様。 どうだい奈穂子サン?久しぶりにトンチキのニオイがプンプンして来そうな名前だろう? こいつは本物の筋ガネ入りのトンチキだ。 このトンチキ…